Gerade-D-

□叫ぶ
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「あ〜〜くそ!あとちょっとやったのに!!」

「ガハハハハ!オレの勝ちだな!まだインハイの疲れでも残ってんじゃねーか!?」

「いやいや、2日目へバっとった誰かさんが疲れとるんちゃうかと思て気ぃつこただけですけど!?」



小野田くんの好きなコースを走る…もとい秋葉原散策の帰り道、
学校戻るまでの途中でおっさんに勝負掛けたけど、あとちょーーっとで勝てへんかった。ホンマ!ちょっと!!



「気なんか遣う必要ねぇぞ。本調子すぎて体力有り余ってるくらいだからよ!」

「ほんなら後でもう一本やりましょや!!次こそワイが勝つんで!!」

「いいぜ、いつでもやってやるよ。ま、勝つのはオレだけどな!」

「いやいや、何言うてんすか!ワイに決まっとるでしょ!!な!小野田くん!!」

「えっ!?あ、あの、僕は…田所さんも鳴子くんも、その、どっちも凄いと思うし、ええっと…!」

「そんな真面目に答えんでええんやで小野田くん!適当に『ウン、ソウダネー』とか言うてくれたらええねん!」

「そ、そうなんだ!ごめん!僕そういうのよく分からなくて…」

「ええってええって!ホンマ真面目やなー、小野田くんは!」



さっきも先輩らにプレゼント選んで、頭下げて、挨拶までしてもうてホンマ真面目すぎや、小野田くんは。

まぁ…でもそのおかげで改めて 先輩らおんのが、あと半年しかないって自覚もできた。
半年いうてもオフシーズン考えたら半年もないな。
練習には来るて さっき金城さんも言うとったけど、基本は1・2年がメインになるやろうし…



「みんな、おかえり〜!」



せや…この人も卒業してまうんやんな。



「む、戻ったか」

「みんなで秋葉原楽しかった?」

「はい!!とても楽しかったです!!」

「オッサンらのアウェー感がめっっちゃおもろかったッスわ〜〜!」

「うるせーぞ鳴子!」

「二人は何しとったんすか?」

「これ書いてた〜!」



心さんがそう言うて駆け寄ったホワイトボードをくるっと回したら
そこには『インターハイ優勝おめでとう!&おつかれさま!』の文字が書かれとって

おめでとう、までで終わらんところが心さんっぽいなーと思たら、思わず顔が緩む。



「あと、お買いもの行ってきたの!みんなにプレゼント!」

「え!なんすかそのサプライズ!!めっちゃテンションあがるやん!!」

「やった〜!」

「なんでお前が先に喜んでんだ」

「へへー。はい、迅の!」

「おう、サンキュー」

「うん!」

「……」



やっぱ早よ言わなアカンかも

呆れとるオッサンに一番に渡しに行く心さんを見て、そう思う。
いつか、とか んな呑気なこと言うとる場合ちゃうわマジで。
この…何でもおっさん優先なんが段々耐えられへんくなってきとる…末期か。末期やなワイ。



「これが章ちゃんの!」

「!おおきに!!開けてええっすか!?」

「うん!あとはー…」



言うって決めたからにはさっさと言うてまいたいけど、
それにはやっぱまずオッサン倒さんとなー!
今日は特にメニュー決まってへんみたいやから、後で絶対勝負してもらお!!とか考えながら、ばーっと貰ろたプレゼントを開ける。



「はい、俊ちゃんの!」

「ありがとうござます」
「うおおお!!めちゃくちゃかっこええやんこのボトル!しかも赤!!さっすが心さんよう分かっとるわ〜!!」

「えへへ〜よかった!」

「ここぞいうレースの時に…いや、レース中やとボトル捨ててまう時あるしなー…なんや使うの勿体無いな!神棚にでも飾るか!?」

「「……」」



すっかりテンション上がってもーて盛り上がっとるワイに、スカシが何か言いたげに視線寄越してきとるけど、
どーせ『うるさいぞ鳴子、騒ぎすぎだ』とかいつもみたいにスカシたアレやろうから無視でええとして

後ろや後ろ。



「…なんすか前髪先輩」

「いや〜?それを神棚になぁ…なるほどなるほど…」

「いや、せやからなんすか!」

「ふふん!お前はそれをここちゃんが選んだと思ってるんだろうが、それは私が選んでやったんだぞ!!」

「はぁあ!?嘘でしょ!?」

「嘘だが?」

「ホンッッマ腹立つなこの人ウ ザ い わーー!!」

「ウザくはないな!!」


「俊ちゃんのも私が選んだよー!」


「はぁ!?」

「……どうも」



いやいやいや、何でお前 今一瞬 横目でこっち見てん!!しかも、どうもって何スカシてんねん!もっと喜べや!

つーか何でスカシ!?おっさんは分かるで!?しゃーないけど!!
お前は全然しゃーなくないで!??嘘やろ!?



「それも嘘っすよね!?前髪先輩!!」

「残念ながらそれは本当のことだ鳴子」

「嘘やろ…」


「まきちゃんの分は勿論私が選んだから安心してくれていいぞ、まきちゃん!」

「別にどっちでもいいっショ」

「まぁ、言わずもがな分かってくれていたとは思うが…」

「いや、だからどっちでもい…」
「確かに!ボトルは皆と同じものだが!まきちゃん!これには特別に!愛が!私のあ」
「別にそこまで求めてないっショ」

「まきちゃあああああん!!!」

「うわっ!何なんショ、お前は!足にしがみつくな!」



インハイの後、休み挟んだからか知らんけど
いつにも増してヒートアップするんが早い前髪先輩見とったら なんか…冷静なるわー。

ま、つまらんこと気にしててもしゃーないな!
相手スカシやし。全然!全く!これっっっぽっちも問題ないわ!


何より先に打倒おっさん!インハイ終わった今これに尽きる!!



入部当初からの変わってへんこの目標を、
今日こそ勝ったると意気込んで



「おっさん!さっき言うてた勝負、今からやりましょや!」














貰ろたボトルを握りしめながら。










→18.そっか、


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