Gerade-D-

□そっか、
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「次のキャプテンはおまえだ。2年手嶋純太!!」

「はい!!」



純ちゃんの気合の入った返事を聞きながら、
優勝トロフィーのリボンに書き足された『登り一筋』の文字を見て



小さく「そっか、」って呟いた。



真くんから裕くんの進学先の話を聞いた時
最初に思ったのは、あいこちゃんのことだった。

急いで部室に戻ったら、あいこちゃんのRIDLEYがなくて携帯を確認すれば
メールに


『峰ヶ山を登ってくる』


ってそう、一言だけ入ってて。





部室の外に椅子を持ち出して
あいこちゃんの帰りを待ちながら、そのメールを改めて眺めた。

静かな部室前に、蝉の鳴き声だけ響いててじわじわ暑い。
まだ、夏なのになぁ…とか
私もロードバイク乗ってみようかなぁ…なんて
すごく今さらなことが頭に浮かんではぼんやり消えていく。



「心さん!!」

「!!章ちゃん!俊ちゃん!おかえり〜!中につめたいタオルあるよ!」

「んなことより巻島さんは!?」

「?裕くんなら…多分、峰ヶ山かな。あいこちゃんと!」

「何を呑気に…。心さん知ってたんすか!?巻島さん…いや、前髪先輩からでも聞いて…」

「ううん、知らなかったけど…あいこちゃんがね、インハイの後から元気ないかなって思ってたから、それかなーって」

「「……?」」

「……いや…めちゃくちゃ元気でしたけど…ウザいくらい」



章ちゃんと俊ちゃんが顔を見合わせて不思議そうな顔をする。
私には その方が不思議だけど
きっとふたりには、みんなには、そういう風に見せたかったんだろうなあ。



「裕くんが内緒にしてたから、きっとあいこちゃんも内緒にしたかったんだよ」

「はぁ…?…まぁそりゃ、巻島さんが決めたことにワイらがどうこう言えるあれやないすけど…それにしたって…」

「今時、海外なんていくらでも連絡とれるだろ。そんなに騒ぐことじゃない。俺たちは俺たちのやるべきことをやればいいんだ」

「っかー!おっ前はホンマつめたい奴やな!!人情っちゅーもんを知らんのか!!」

「結局この前の勝負も田所さんに負けて、気合い入れ直すって言ってた奴が人の心配なんてしてる場合か?どっちにしろ、新体制でやっていくんだ。何も変わらないだろ」

「ワイが言うとるんはそういうことちゃうわ!」



わーわーといつもみたいに騒がしくなる部室前で



「俺たちには次のインハイがあるんだ」



って俊ちゃんが言ったのを聞いて

また、



「おい、休憩したら次のメニュー行くぞ」

「あーもーうっさいな!分かっとるわ!!心さん、ワイら中で休ましてもらいますけど中入らんのすか?」

「うん、あいこちゃん帰ってくるのここで待ってるんだ〜!」

「熱中症、気ぃつけなアカンすよ」

「はーい!」



ひとりで 呟く。











か、



みんな、居なくなっちゃうんだ。










→番外編4.よっぽど


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