Gerade-D-

□お前も
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インターハイ2日目、スタート直後
スタートに飛びだせねぇで、強がってみせても
力が思ったようにでねェで すぐに足が止まる。
この調子じゃ、昨日 巻島にチームを頼んどいて正解だったな。



『やだ!そんなこと言わないで』



途中で、止まらねェでちゃんと、引いて行ったんだな、本当に。

すっかり弱気になった思考が、終わる気のしねェ坂の先を見て
一人が、淋しいなんてバカなことを思う。



『…絶対大丈夫だよ、』



あぁ、だから…言っただろ巻島。絶対、誰にも言うなって。
言ったのに、おめェがあの時 心に負けて、救護テントまで連れて来やがるから。


うるせえったらねぇぜ。



『絶対…!』



分かってる。チームは大丈夫だ、巻島が引いてる。
オレのことは、そんなもん、オレが一番よく分かってんだよ。
力20%も出てねぇんだよ、進まねぇんだよ



「何だよ…くそっ…!最後のインターハイが終わっちまうだろうが!!」





『それでも、信じてるから、』





信じてるさ。オレが居なくたってアイツらは、オレたちのチームは、



「「田所さん!!」」

「…手嶋…青八木…!」

「大丈夫すか!体調…わるいんですか」



足を止めちまったオレの元に、手嶋と青八木が走り寄ってくる。
自分の仕事は終わったと、投げ出しかけたこの心を



「チームに追いついて下さい田所さん!皆をお願いします!チーム総北には、あなたの力が必要なんです!!」



折れかけた心をあいつらが拾ってくれたっつのに
メイン集団に抜かれた後も、どんどん…ポジションを落としてる。
もう1度、チームのために走る、そう決めたってのに

力は相変わらず入らねェ、



『大丈夫だから、』



どこがだ。今トップとの差がどれくらかも分からねェ
この調子で行って、これから、どれくらい差が開く
100キロ超のこのコースで、オレは本当に追いつけるのか…
金城、巻島…
今ここに総北のジャージがいりゃあ どんだけ心強えか…



『絶対、』



悪い…
オレはもうここでダメかもしれねェ

お前は、ここで諦めたら怒るだろうな。
昨日もやたらと、うるさかったしな…でも、オレは、アイツらを信じてるぜ。


だから、



『大丈夫だから、』



すまねェ…







『だから絶対…諦めないで、迅』







「迎えにきました田所さん!!ボクの後ろについて走ってください!チームに追いつきます!!」





伏せった視界に、見慣れた色のシューズが映って思わず顔を上げる。
なんで、てめェがここにいる…小野田!
俺を待ってポジション落としたってのか、バカヤロウ…!


「今すぐ前向け!振り返らずに全力で走れ!!おまえはチームに戻るんだ!!」

「イヤ…です…ボクは、」


置いていけって、言っといただろ、俺は、なのに、



「金城さんに全員をつれてチームに合流しろと言われましたから」



その意志の強い目に、背中に、引かれて 思う。



『大丈夫だから、絶対、大丈夫だから、』



お前が昨日必死になって
うるさく言ってたのは、こうなるって、分かってたからか?



『だから絶対、諦めないで、迅』



オレはまだ、間に合うか?チームのために、
歌でもなんでも歌ってやる。もう諦めねェ、必死で回してやる。だから、

1度あきらめたチームにもう1度…!

時間かかるかもしれねぇが待っててくれ
巻島!金城、今泉、鳴子!あ、いや…あの赤頭は待ってなくていいな



「……」



なんて、余裕のでてきた思考に小さく笑う。
やっぱ鳴子、おめーも待ってろ!!


心、














もう少しだけ、オレの諦めたくねぇ気持ちを引っぱっといてくれ










→11.この先に、


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