Gerade-D-

□絶対、負けへん
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バス降りたら、そこはインターハイのスタート 江ノ島。
ぎょーさんの人に、チャリに、ステージもある!やっぱレースはええな〜〜!!
この賑わいの中の張りつめた感じ、たまらへん!!
小野田くんちゃうけど、めちゃくちゃテンション上がってきた!!


って、



「お前、今年はちゃんと飯食ったんだろうな?」

「食べた!」 



テンションはーめちゃくちゃ上がっとるんやけどー…



「手嶋や青八木に迷惑かけんなよ、あと寒咲さんにもな」

「とーじ先輩にはかけない!」

「2年にもかけねぇって言え」

「…わかんない」

「おい!」

「だって…」



いっこ、めっちゃ気になってしゃーない。



「ちょいアレ!どういうことなんスか前髪先輩!」

「何がぁー?」

「心さん、オッサンにべったりやないスか!」

「私には見慣れた光景だが?まぁ、緊張でもしているのだろう?」

「…緊張とか一番無縁そうな人やないスか?」

「…田所っちが心配なんショ…まぁ、ありゃ昨年よりマシだな」

「逆にオッサンに心配されてますけど!?」

「なんだ鳴子、ここちゃんに構って貰えなくて拗ねているのか?男の嫉妬は醜いぞ」

「そんなんちゃいますー!」

「…俺たち3年には最後の大舞台だ。マネージャーにだって思うところがあんのさ…まぁ、今日ぐらい田所っちに任せとくっショ」

「巻島さんまで!そういうんやないて言うてるやないすか!」
「まきちゃん!!私にも!私にも思うところがあるぞ!まきちゃん!!」

「あぁ…お前はいい」

「どうしてそんなことを言ってしまうのだねまきちゃん!!聞いてくれてもいいではないか!」

「いや、いい」

「まきちゃーん!!」

「……」



…相変わらずの二人はほっといて、


別に、ホンマにそういうんやない。
オッサンとは幼馴染みやからーって、特別仲ええんは知っとるし。
そりゃ気にならんわけやないけど、

あんなん見せられたら


嫌でも、分かる。



「おい、赤頭!」

「…なんスか?」

「お前どうせステージ見に行くんだろ、コイツも連れてけ」

「別にええっスけど…」

「…迅は?」

「バーカ、俺は準備があんだよ。お前は昨年、ステージ見れなかっただろ。祭みたいだからよ、見に行ってこい!お前そういうの好きだろ」

「お祭り…うん!わかった!」

「……」




心配させるようなことも
駄々こねるみたいな態度も
不安そうな顔も おっさんの前でだけ。





ワイにはただ、

いつも通り 笑ってくれるだけやから。





「章ちゃん、一緒に行こー!」

「はいな」







ワイはやっぱり、心さんの





『後輩』





なんやろうなって、思わざるをえへん。















「章ちゃん、ゼッケンちょっとよれてる!」

「嘘やん!どっち!?」

「ちょっと待ってね!…はい!章ちゃん目立つから、かっこよくしといた!」

「カッカッカー!おおきに!今日はめっちゃ目立ったりますよー!!」

「うん、楽しみ!頑張ってね!!」



ワイのことも勿論フツーに応援してくれる。

それでも、


スタート前、オッサンに声かけてる心さんを見てたら、
やっぱ、なんかちゃうなって思てまう。



「迅…、」

「おう!グリーンゼッケン土産にゴールしてやるから楽しみにしとけよ!」

「…うん!待ってる!」







オッサンが、一番特別。







少なくともワイにはそう見える。

オッサンが3年やからとか、それだけやないモンが、
あのふたりには、確かにあって



「…いよいよやな」



でもそれは、今は、ってだけや。
負けるつもりなんか毛頭あらへん!
とにかく今はこのインターハイ…いや、まずは1日目のファーストリザルト…



ワイが獲る!!










、負けへん



まずはオッサンに勝つ!話は全部それからや!










→09.この日まで


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