Gerade-D-
□しゃーないやろ
1ページ/1ページ
なんか 最近、心さんに飛びつかれるんが増えた、気ぃする…ちゅーか確実に増えとる!
大半は前髪センパイの悪戯やってんけ ど ー…まぁ、そのせいで慣れたんやろなぁ。
最近は前髪センパイおらんくても挨拶で普通に抱きついてくるようなっとるし…
まぁ、ワイもそろそろ慣れてきたけどな。
でも問題は
「あ!章ちゃん!」
「!ストップ!ストップやで心さん!!」
「?」
噂をすれば、ってやつか
ちょうど後ろからワイを呼ぶ心さんの声が聞こえて待ったをかける。
そう!問題は、
ワイこの前心さんらが着替えてる時にドア開けてもうて
あれから抱きつかれるたんび、あの日見たんが脳裏をチラチラっとやな…
って、いや ワイ何も!見てへんけど!!
……いや、見えたけど…。アカン!!なんかもう色々アカン!!
なかなか反応せえへんワイに、心さんはいつでも抱き締められます言わんばかりに腕広げたまま首を傾げる。
なんやそれもう!可愛ええな!!
でもしばらく抱きつくのはやめてもらお…うん、そうしよ。それがええ。
「…、しばらくそれはナシで頼みますわ」
「……」
心さんは意味が分かったんか、すっと腕をひっこめたけど
それと同じように眉も下がる。
「…章ちゃん、おはよ」
「う…!」
あ"ーも"ー…!なんなん!?
そんなしょげんでもええやん…!!
「…〜やっぱ、嘘でッいだっ、早い!抱きつくん早い!!」
「?」
「何もないんで!!そのままこっち向くんはやめて!!」
はあ…結局こうなんのか…分かっとんねん!先に惚れた方が負けなんや!
全く勝てる気せぇへんけど…かといって前髪センパイみたいに抱きしめ返すわけにもいかんし…!ホンマどうしろっちゅーねん!!
とぶつけようのない気持ちを持て余しながら、結局はなすがまま。
「…怒られちゃったよ!あいこちゃん」
「いやいやもっとやっていいのだよ 、ここちゃん」
「!?!ちょ、い、いつからそこおったんスか前髪先輩!!」
「ここちゃんが来た時から」
「最 初 っ か ら や ん け!!」
心さんの言葉にびっくりして振り返れば、マジでそこにおる前髪先輩。
ホンマこの人なんでいっつもおんねん!?忍者か!!
「鳴子ぉ、そろそろ覚悟決めろよぉ」
「何のっスか!!ニヤニヤすんのやめてもらえます!?心さんもいい加減離してマジで!!」
「はーい!」
「分かってるくせにぃー」
「前髪先輩ちょっと喋らんとってホンマ!!」
そんなことよりインターハイやし!!
そんでもって打倒オッサンやし!!
覚悟も何も、話はそれからっちゅーもんで…とまぁ、声に出したところで心さんが察するとは思わんけど 心の中で言い訳しとったら
心さんがなんか鞄からがさがさと袋を取り出す。
「あ!章ちゃん、これあげる!おいしいの!いつも飴ちゃんくれるから!章ちゃんにあげようと思って持ってきたんだー!はい!」
その袋には思いっきし「田所パン」て書いとるけど、それはもうしゃーないとして!
いつも何か食っとる心さんから食いもんもらえる日が来るとは…しかもわざわざワイのために…ってなんか変な感動すら覚えながら袋を受け取る。
「ええんすか!?おおきに!」
「ニヤニヤするな鳴子、気持ち悪い」
「だだだ、誰もしてへんすわ そんな顔!!」
「いいや!していたな!」
「し て ま せ んー!」
「し て い た なー!」
「?章ちゃんがうれしかったら私もうれしい!」
「、」
「ほら見ろ!デレデレしているではないか!!勘違いするなよ!ここちゃんは私にも田所にも同じように言うんだからな!!」
「そんなんイチイチ言われんでも分かっとるんで!!いい加減黙っとってくれます!?」
「何をーー!!」
ぎゃいぎゃい文句言うとる前髪先輩はほっといて、勝手に緩む頬を抑えとれば
目合った心さんがまた笑う。
そんなん分かっとる、分かっとっても
しゃ−ないやろ
顔が勝手に動くんやから。と思いながら 切り替える様に「部室行きましょかー!」と声をあげた。
→08.絶対、負けへん