Gerade-D-

□なんかちょっと
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ついに待ちに待った夏休みに入って
ワイは小野田くんと時間合わせて、一緒に部室に来た…とこまでは良かったんや。

小野田くんと、インハイまで気合いいれて練習せなな!みたいな話してて、メッチャやる気なった勢いで、部室のドアをばーんと開けた。


そらもう勢いよく。



「ちーっス!!お、は、」

「あ」

「章ちゃんだ、おはよ〜!」



バターーンッ!!と、開けた時よりも全力でドア閉めて頭を抱える。

え!?アカン!何や今の!?



「ワイなんも見てない!ワイなんも見てない!!ワイなんも見てない…!!」

「え!?ど、どうしたの鳴子くん…?」

「なんも!見てない!白い腕とか白い脚とか…見てない!なんも!!マジで!!」

「え?な、中どうかしたの…?」



声かけてくれとる小野田くんそっちのけで呪文みたいに同じことを叫ぶ。
心さんと前髪センパイ着替えとった…!やってもーた!!
いや、何も見てないけど!!



「開けたらアカンで小野田くん!!小野田くんにはまだ早いで!!」

「え…っと…?」

「何してんショお前ら部室の前で…」

「あ、おはようございます巻し」
「まきちゃんおはよおーーー!!」

「「「!?!!?」」」

「っ!はぁ!?ちょ、お前なんつーカッコで出てくるんショ…!」



巻島さんが来た思たら、部室のドアがおもっくそ開いて 更にすごい勢いで前髪センパイが部室の外まで飛び出してきた…
ホンマになんちゅーかっこで出てくんねん!
着替えめっちゃくちゃ途中やんけ!!



「まきちゃんの声がしたぁー!」

「そんなこと聞いてんじゃねーよ…!」

「照れる必要はないぞ、まきちゃん!キャミなんて下着のうちに入らないし、これ(ボクサーパンツ)も下着であって下着ではない!」



しかもめっちゃのんきか!
いつも心さんのことのんきやなー思てたけど、やっぱ友達やわ!この人も大概やわ!!
ちゅーか心さんもさっきフツーに挨拶しとったけど、この人ら恥ずかしいとかそういうのないんか!?
こっちの方が恥ずいんやけど!?



「バカなこと言ってねーでさっさと着替えろバカッ!」
「2回もバカとか…まきちゃんだから許」

「…なんか…悪ィな、お前ら…」

「「い、いえ…」」



前髪センパイの言葉も途中に、前髪センパイを部室に押し込んで 無理矢理ドア閉めた巻島さんの後ろ姿は、なんや哀愁が漂っとって
そりゃあの人(+心さん)相手に3年目やもんな…色々苦労してきたんやろな…と思たら下手な言葉はかけられへんかった。










「誰も来てなかったから今ならいっかなーって」

「ねー」

「何がねーっスか前髪センパイ!ねーやないでしょ!?カギ!せめてカギかけとって下さいよ!!」



着替え終わったふたりを巻島さんと注意する。
とりあえず、心さんはそういうとこ何も考えてなさそうやから、前髪センパイにしっかりしてもらわんと困る!



「なんだ鳴子ぉ!ここちゃんの着替え見といて逆ギレか!!」

「ワイ何も見てへんっスけど?」

「何を明後日の方向を見ている!思いっきりお前に挨拶していたではないか!」

「そーでしたっけ?」

「していたな!ここちゃんが!呑気に!無防備に!!キャミ姿で!!」



いくらとぼけてみても、前髪センパイの一言一言でドア開けた時の光景が脳裏にちらつく。
なんで一番最初にドア開けてもーたんや!ワイのアホっ!!



「あ゛ー!も゛ー!分かったんで!謝るんで!前髪センパイ喋らんとって!!ホンマに!!それ以上は堪忍して!!」

「章ちゃん!私、気にしてないよ?」



こっちの気も知らんと、いつもの笑顔で話に入ってくる心さんに思わず言葉が詰まる。
くそ!かわええ…かわええけど…!そういうことやないねん!!



「心さんはもっと気にして!!」

「?」



「東堂…いい加減鳴子で遊ぶの止めろっショ…うるせぇから…」

「それはならんよ、まきちゃん!部活での楽しみがなくなるではないか!」



そう言って高らかに笑う前髪センパイにうんざりしながら

しばらくドア開けるたんびに今日のこと思い出すんやろな…と思たら










かちょっと



憂鬱になった。










→07.しゃーないやろ


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