B-S

□それは、仮面ごしの………
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「……佐助のこと、ですか?」

声を揺らさぬよう注意しながら天狐仮面、佐助は隣に座る主に尋ねる。

「うむ」

「何か至らぬ所でもございましたか……?」

深く動揺していても口は動くのだなと佐助は何処か遠い思考で思った。
理由を聞き直せるのならば直し、無理ならば自分は主の下を離れなければ為らない。

「そうではござらぬ!」

「では……」

何故、と思った。
自分は何か幸村の気に障るようなことをしたのだろうか。

「某がおかしいのです…!」

「……はっ?」

「誰よりも慕わしいなど!!」

「幸村様……?」

「これは、部下を思う気持ちではないでござる…」

「あっ、えぇ」

「愛しておるのです!!」

“何故”と、佐助は思った。
もしかしなくても自分は今、告白されているのだろうか?
ばれてないのは分かっていたが急いで立ち上がる。

「天狐殿!?」

幸村が驚いているがそれどころではない。

「……幸村様、少々所用を思い出したので失礼します!」

「えっ?」

「では、御前失礼!」

「天狐殿――」

幸村の声が聞こえたが構わず、全力で走る。


珍しく悩んでいる様なのに、相談してこないので心配したのに。

「その顔は反則だよ、旦那ァ〜」

心の底から愛しい、そんな顔で言われたら平気な顔では居られない。

「明日、どんな顔で会えばいいのさぁ〜」

真っ赤な顔を腕に埋めて、佐助は呟いた。




「一体どうなされたのだ?」

あっという間にいなくなった天狐仮面に首を傾げて。

「何時になったら言えるのだろうか……なあ、佐助」

切なそうに空を見上げ呟く幸村が佐助に想いを打ち明けるのは、この数ヶ月後のこと………









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