B-S
□それは、仮面ごしの………
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「ゴホッ、申し訳ない……」
「いや、私が突然声を掛けたからですので」
“お気になさらず”にそう言って微笑んでいるのは、先日知り合った佐助の友人である天狐仮面だった。
「ところで、今日は何用で参られたのでござるか?」
まさか、自分に用でもあるのかと聞いてみる。
「佐助に会いに来たのですが居ないようなので…つい、幸村様に声を掛けてしまったのですが……お邪魔でしたか?」
「いや、唯考え事をしていただけなので……」
「そうですか。……隣、よろしいですか?」
「うむ」
「失礼します」
そう言って天狐仮面はスルリと、いつも佐助の座っている場所に座る。
「それで、何か悩み事でもお有りですか?」
「えっ、な、な、何のことでござるか!?」
動揺丸出しの声で幸村がはぐらかす。
「唯の部外者である私には言えないような事ならば聞きませんが……悩み事は誰かに話せば少しは軽くなります。身近な者に言えないことならば尚更に………」
「……天狐殿」
「貴方様にそのようなお顔は似合いませんよ」
「………では、聞いて頂けまするか?」
「私で宜しければ、喜んで」
「では……」
膝の上で拳を握り、幸村はぽつり、ぽつりと話し始める。
「……某の悩み事とは、佐助のことなのでござります…!」