ortensia

□他人に懐柔されるのは趣味じゃない
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「おやおや、十年前の雲雀君ですか」
「…六道骸…!」
「おやおや、そんな物騒な物はしまって下さいませんか?一応君とはこの十年間で話はつけたんですよ」



咄嗟に取り出したトンファーに目をやって不戦の意思を現そうと言うのか三叉槍を手放した長髪の男に不信感を抱きながらも、恭弥は少し距離をおきながらトンファーを仕舞う事にした



「そういえば君はもう跳ね馬には会いましたか?」



クフフ、と笑う六道骸に恭弥はそういえばあの跳ね馬もまだ十年後は自分に咬み殺されず生きているのか、と物騒な考えを浮かべ、顔も見てないよ、と骸に告げた



「おやおやそうでしたか、ではこれを差し上げます」



そう言って差し出されたのは数枚の写真。


何だこれは。と思いながら裏返されたまま恭弥は渡されたそれをピラリと裏返した





「クフフ…」
楽しそうに笑う骸は放っておいて恭弥は全ての写真に写っている男に目を潜める

緩くウェーブをかいてフワフワと揺れる金髪
垂れた優しげな瞳の光は何処か強くて、隣に居る青年の姿をうつして…



「……なにこの公共猥褻物」
「わ……ちょっとそれは酷すぎませんか雲雀君。仮にも君の家庭教師でもあり恋人でしょうに」
「どっちでもないよ…こんな無差別にフェロモン撒き散らす公共猥褻物にうろつかれたら並盛の風紀は乱れに乱れて目もあてられなくなる…」



ゴオオオオ、と何やら物騒な擬音を立てながら恭弥のオーラが膨れ上がる


「そういえば君もあれから十年たってかなり彼には寛容になりましたからねぇ…懐柔されたと言うか何と言うか」
「……咬み殺す…!!」



現在でも嫌と言うほど自分のペースを狂わされているのを分かっている恭弥の怒りは遂に頂点に達したらしく、机の上に並べていた匣を引っ掴んで荒々しい足音を立てながら廊下に飛び出しピタリ、とその場で止まった



「跳ね馬の居場所…教えなよ」



その言葉に骸は笑いを堪える事もせず住所が書かれたメモを渡して静かに消えて行った
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