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□My princess Cinderella
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不意に台所から声がした気がして手を止める。今屋敷には自分ひとりきりの筈だ。
「いい加減に……するね!!」
ドサッと音がしたかと思うと、台所から人が二人倒れ込んで来た。身体を覆う黒いマントを互いに引っ張り合っている。
「キミが押すから倒れちゃったじゃないか★」
訳が分からず困惑している名前に、倒れたまま背の高い方は挨拶した。
「やあ、僕は魔法使いのヒソカ★」
「えっ?は、はじめまして。」
「何出しゃばてるか!魔法使いのフェイタンね。」
「あ、はじめ…まして。」
自称魔法使いの二人は揉み合いながら起き上がり、フンと顔をそらす。
「お前が舞踏会に行きたいと思て来てやたね。」
「違うんだよねえ、『キミ本当は舞踏会に行きたいんじゃないかい?』だよ★全然分かってないなあ」
「うるさいよ!似たようなもんね。」
ふうと溜め息を吐くヒソカにフェイタンは杖を振り回して抗議する。
「あの…どちら様でしょうか?」
「だから魔法使いて言てるね。お前がおかしいから怪しまれたよ。」
下から睨み付けるフェイタンを押しのけてヒソカは一歩前に出た。
「信じられないのも無理はないね☆じゃあ証拠を見せてあげるよ◆」
キラララーン*・+。.+。・*・。+.。・*・+。.。+・*
ヒソカが杖を振り上げると小さな星のような何かが散って、床も階段も手すりも新品の様に綺麗になった。
「え…!?嘘みたい!こんなにピカピカに!」
信じられないと両手で口元を覆う名前にヒソカは目配せした。
「台所も見て来てごらん★」
駆け足で見に行った台所はこれもまた信じられない光景で、残っていた洗い物は勿論、シンクも戸棚も床も完璧に磨き上げられている。
「すごいすごい!魔法使いさん、ありがとうございます!」
リビングに戻ると二人は顔を引っ張り合っていたが、名前を見てパッと離れた。
「ところでそちらの方は…」
「ワタシも魔法使いて言てるね!しつこいよ。」
「あっ、ごめんなさい。」
「別にいいじゃないか、そんなことどうでも◆それより、本当は舞踏会に行きたいと思っている…違うかい?」
ヒソカは妖艶な笑みを浮かべてゆっくりと名前の周りを歩いた。
「それは…行きたいですけど…でもわたしはこんなに見窄らしい格好ですし…お城なんて恐れ多いです」
「そんなことないね!!」
名前が言い終わるか終わらないかの内に、勢いよくフェイタンが手を握って来た。
「ワタシが身も心も女にしてやるね!」
「何か卑猥だよその台詞。僕がドレスを用意してあげるから、大丈夫☆」
「いや!ワタシが用意するよ。」
「じゃあ、どっちのドレスがいいか彼女に決めて貰おうじゃないか☆」
「フン、まあいいよ。」
フェイタンは鼻で笑って一歩前に進み、杖を振り上げた。
キラキラリーン*・+。.+。・*・。+.。・*・+。.。+・*
名前の着ていたぼろきれの洋服は、一瞬で淡いブルーのドレスに変わった。
階段横の姿見に映し見れば、シフォンとレースがたっぷりあしらわれたふんわりしたデザインで、髪にはティアラが輝いている。
「わあ…!とってもステキ!」
くるりと一回転する名前にヒソカも杖を振り上げた。
「今度は僕の番☆」
キラララーン*・+。.+。・*・。+.。・*・+。.。+・*
瞬きしている間に水色のドレスは黒のドレスに変わった。
胸元は大きく開いていて、足の付け根から生地が斜めにカットされ片方の太ももが露出している。ウエストは透け感のある素材でうっすらとへそが見えていた。
サイドに纏めた巻き髪に…
そこまで確認したところで名前はその場に屈み込んだ。
「きゃ!さ、さっきのに戻して下さい…!」
ニヤリと笑ってフェイタンは杖を振る。
「ワタシの勝ちね。」
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