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□君はペット
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「助けて、何でもする」


ひょんなことから転がり込んできたのは高校の後輩。
付き合いもあったけど部活が一緒でバッテリー組んだだけって仲。


「家、なくなっちゃいました」


笑って話す顔は苦痛に満ちていて了承するしかなかった。


「広いっスね!」


それもそうだ、越してきたばかりの広さが自慢の部屋。
家賃は高いけど広いのが気に入った部屋。


「御幸、俺、なんでもするからここに置いて?」


いいのか?
なんて聞く迄もなく覆い被ると沢村は笑っていた。

壊れてしまったんだ
綺麗だった体は痣だらけになっていた
やっぱりこいつにこんな汚い街は似合わない


「お前、長野帰れ」

「嫌だ」

「今のお前には欲情しない」


嘘だ。
どんなお前でも欲情する。
だけど
こんな形で抱きたくない


「じゃあどうすれば…俺なんて抱かれること位しか出来ないのに」


昔のお前からは想像つかないような台詞
どうしちまったんだよ、一体


「…御幸にしか触られたくなかった」

「…」

「でももう遅い、俺は綺麗な気持ちで御幸と抱き合うこともできないんだ」


俺は沢村の涙が伝う頬をただ見ていた。
ほら、やっぱり綺麗だよお前は。


「綺麗とか関係ないって。」


でもきっと、
痣に比例して汚れてしまった君を見たら
俺は抱けないかもしれない


それでもいいかな
笑って、くれますか
あの頃の綺麗な笑顔で










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