戦場
□この手を。
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※時系列等矛盾小説
この手を。
冷たい冷たい氷水に浸した掌が赤く染まる。
赤く染まる掌を皮膚が悲鳴をあげるまで傷めつけた。
痛め付けた皮膚は薄ら薄らと厚みを減らして
氷水が身に染みる。
「痛い等弱音を吐いておれませぬ。」
赤く腫れた腕をぶら下げた青年、真田幸村は呟いた。
思い起こせばここ数年は目まぐるしくて
そして甘く切なく、痛かった。
慶次に拾われてからというもの、色々な出会いがありその過程で三成と兼続と義の誓いを立てる。
三成の配下になっていた軍師左近に再開し、慶次とも再び巡り合う。
そして今日が訪れるまでどれだけの日々が過ぎ去ったのか、どれだけの人々が逝ったのか。
100を過ぎたあたりから虚しくなって数えるのをやめたのは一体幾つの刻だろう。
今では数えなくても立派に覚えていれるので余計に虚しくなってしまう。
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