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□第四話
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私は気がついたら、ラックのベッドに寝ていた。
ラックは……どこだろう?
ゆっくりと起き上がったのだが、頭が割れるように痛む。何故だろう?

とにかく私は、痛みに耐えながら辺りを見回した。
すると、ラックが床を掃除しているのが、目に入った。
「ラック……私、あのあと、どうなったんだっけ?」頭に手を当て、ラックに声をかける私。
ラックは手を止めて、

「暴れまわった。そんで、倒れるように寝ちまった!」
と言って笑った。
そんな――嘘かと思ったけれど、確かに床には酒の瓶や、皿の破片が散らばっている。
私は、急に恥ずかしくなり、顔がほてってくるのが、自分でもよくわかった。

自分が酔うとこんなにひどいのか……。
昨日の酒は、相当強いものだったのだろう。
もう、酒は飲まないようにしよう……。
「頭が……ガンガンする……」
少しでも動くと、頭が割れる、という程痛む!

まるで、カミナリにでも撃たれたようだ。
「シャワーでも浴びてこいよ。スッキリするぜ」
ラックが言う。
私は、とにかく楽になりたいので、そうすることにした。

バスルームに行き、服を脱ぐ。
ふと、壁に掛けられた鏡に私が写る。
髪を背中まで伸ばしているいつもの私……。
いや、いつもの私ではない!
胸にタトゥーのようなあざがある。これは何?
擦っても落ちない。

訳が解らない! 何でこんな物が?
私はラックに聞きに行った……。

「ラック!! ラック、ちょっと!」
私は、体にタオルを巻き付け、ラックを呼んだ。

ラックに、このあざを見せると、ラックの顔から血の気が引いた。
「ねぇ、これは何なの?」
不安だ。何かとんでもないことになりそうだ。


暫くの沈黙が続き、ラックが口を開いた。
「これは……これは、ソウルイーターの印だ……」
そして、何を聞いても黙りこんでしまった。
ラックは午後になってから、やっと口をきいてくれた。

そして、私の体に付けられた印のことと、ソウルイーターとやらのことを教えてくれた。
私の体に付けられた印は、一種の呪いのようなものだそうだ。

「そして、それを付けたのがソウルイーターだ。ソウルイーターはその名の通り、魂を喰らう。お前が喰われなかったのを疑問に思ったが……」
(ソウルイーターとは、私がオオカミ野郎と呼んでいた奴のことらしい)ここで言葉を一旦切る。
「まさか、こうなるとは……」

また言葉を切る。
「早く言ってよ! 何なのよ」
私はじれったくなり、ラックにせっついた。
ラックが、重々しく口を開く。
「その印は、ソウルイーターが人間を仲間にするときに付けるものだ……」







それきり、今度は私が口をきけなくなった。
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