Mea

□第一話
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 学校でも、元気がでない。
でも仕方なく、無理矢理、明るく振る舞う。

あぁ……疲れた。
学校が終わってみんな帰っていく。
私も帰ろう、と席を立ったその時、誰かに制服の袖を掴まれた。
「……誰?」
私の袖を掴んだのは同じクラスの変わり者、キャサリンだった。
「メアリ、来て」

「や……ちょっと、待っ……!」
おかしい!
普段のキャサリンは、もっとおとなしいのに!
今は……。
ものすごい力で私を引っ張っている。
痛い!

そのまま学校の校舎の裏に着くと、私はようやく手を離してもらえた。
そしてキャサリンが、私の目を覗き込む。
「な……何よ……?」
何だろう……とても、怖い。
キャサリンの視線が突き刺さるようだ。
やがてキャサリンの口がゆっくりと開いた。

「メア、リ。貴女の、こと、ずっと……見て、た……。直ぐに、来る。闇を、届けに」
キャサリンはそこまで言うと急にヒステリックに笑いだした。
「メアリ、チャンス……だ! そうだ、明日の夜、明日の夜だ!迎えに行く……からな!」
そして、キャサリンがまたヒステリックに笑い――倒れた。

わずか一瞬のうちだった。一瞬のうちに、私は恐怖を植え付けられてしまった。
「キャサリン? あんた、一体どうしちゃったのよ……!?」
私が震える声で問い掛けても、キャサリンは起きなかった。


 その数分後、キャサリンは起き上がり、ここはどこかと聞いてきた。
「はぁ? あんた、覚えて無いの?」
「あたし……なにも。帰らなきゃ。なんでこんな所にいるのかな……」
そう言うとキャサリンは帰っていった……。

「さっきのは、何?」
昼と夜が入れ代わる、黄昏時の空に問い掛けた。
頭に、キャサリンの声がこだまする。
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