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□最終話
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「印だ。他のソウルイーターには、つけてないぜ」
ラックが、ため息をつきながら、言った。

「印は、俺と同じ性質になるようにつけたものだ。それで、お前もソウルイーターを倒せるようにした」
あたしとラーサは、へえ、というようにうなずいた。

そうだ。最初からラックに聞けばよかったのだ。
ソウルイーターを作った、張本人なのだから。

「ソウルイーターにするには、ある程度自分の血を流し込むんだが……最初は、メアまでソウルイーターの〔意識〕にむしばまれるなんて、そこまで考えてなかった。
ソウルイーターになる、ならない、のぎりぎりで止めていたんだ」

「じゃあ、何でこうなったの?」
もしかしたら、あたしはソウルイーターにならずに済んだかもしれないのだ。
理由を聞かずには、いられない。

「メア、お前がソウルイーターに背中を刺されたときだ」
ラックが、静かに言う。

そういえばログハウスに行く前、あたしはソウルイーターに後ろから、爪で刺されたっけ。
それで、ログハウスで手当てしてもらったんだ。

「あの時は、どうしようもなかった。俺の血には、傷をふさぐ力がある。迷ったが、血を使わなければ、メアは大量出血で死んでいたからな」

そうだったのか。
だからあのとき、まるで最初から傷がなかったように、痛みすら感じなかったんだ。

「でも……ラックにとってあたしは、ただの子供じゃない。助ける意味は、あったの?」
あたしは、恐る恐る聞いた。

自分のことだが、これは本心だ。
ラックにとっては、ソウルイーターを一体、作り出しただけだ。
迷ってまで、助ける意味がない。
ラックが痛いとこを突かれた、とばかりに顔をしかめる。

「言ったろ?お前は、ただのソウルイーターじゃない。異世界に生まれて俺の印をもつ奴は、俺を殺せるんだ。つまり……俺は、もう死にたかったんだ」
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