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□最終話
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「最初は、それはラックをうらんだよ。いつか、死ぬ前に必ず殺してやる、ってね」
ラーサが、軽く笑いながら言う。
当時を思い出したんだろうか?
そして不意に、暗い顔をする。
「でも、僕ら、何十年経っても死なないんだ。ラックと同じで」
え!?――あたしは、思わず目を見開いてしまった。
「嘘でしょ!だって、斧や剣で斬ったときは、倒せたじゃない!」
我慢しきれずに、問い掛ける。
ラーサが、慌ててあたしをなだめた。
「まあまあ、落ち着いて。ソウルイーターを倒せるのは、ラックと、メアリーだけなんだから」
そうだ。ラックは前に、「ラッカント・ロマリアを倒せるのはお前だけ」と言っていたじゃないか。
ラッカントはソウルイーターで、正体はあたしとずっと一緒にいた、ラックだ。
ラックを倒せるのがあたしだけなら、ラックはソウルイーターだから、ソウルイーターを倒せるのはあたしだけ、ともなる。
「でも、何であたしとラックだけなの?」
あたしがそうできるのなら、他のソウルイーターたちにだって、できたはずだ。
あたしも、ソウルイーターなのだから。
「メアリーと僕じゃ、変化の仕方――つまり、ソウルイーターへの成り方――に違いがあるんだ」
ラーサが、あたしの考えを察したかのように、すらすらと答える。
「僕らは〔意識〕に身体をむしばまれてからすぐに、正気を無くした。でも、メアリーはまだ正気を保ってる」
ラーサが、僕だって最初からこんなじゃないんだ、とつけ加えた。
それならば、ラーサのこの性格にも、納得がいくような気がする。
「何て言うか、メアリーはラックの血を継いだ、って感じなんだよね」
ラックの血を継いだ――?
ラックとの血縁はないが、どうして?
あたしの頭の中は、もやもやしたものでいっぱいだ。
どんどん、わからなくなっていく。