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□第九話
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膝を折り、岩に崩れるように座る。
頭がぐらぐらする。熱い。
ずっと叫んでいた声がだんだん高く、小さくなってきた気がする。
そして叫び声は消え、代わりにかわいた咳になった。


泣きながら、自分を見る。
爪も、肌の色も戻っていた。
さっきのは、何!?
まるで、ソウルイーターみたい――。


「見よ、ラック。この娘は、私たちのようになりかけている」
後ろで誰かがしゃべった。ジェイスだ。

「また、悲しき友を世に作り出すのか!」
涙でぼやけた荒野に、ソウルイーターに囲まれたラックが見える(あたしは岩の上にいたが、ラックは岩の下にいて、荒野に直接膝をつけていた)。
なんだか、あざや、切り傷だらけだ。

「全て、お前のせいだ!ラック!!」
ジェイスが、かみつくように言った。
……なんで、ラックのせいなの?
あたしは、何が起きてるかさっぱりわからなかった。

「ラッ……ク?どうなって……るの?あたし……」
あたしは、かすれた声でラックに問い掛けた。
だが、ラックは座って下を向いたまま、答えてくれない。
まだ、頭がぐらぐらする。気持ち悪い。

「娘よ」
ジェイスの声がした。

「お前は今、私たちと同じ体になりかけている。
悲しみ、そして恨め。全ての元凶は、この男なのだ」

すると、やっとラックがしゃべった。
「ジェイス、それ以上は言うな!」
しかし、すぐにラックの後ろにいたラーサに殴られ、ううっ、とうめいた。
「ジェイスの邪魔を、するな!」

ラックは小声で悪態をつき、殴られたときに口の中を切ったのだろう、血を吐き出した。
ジェイスが笑って続ける。
「この男は、お前を異世界から連れだし、運命をことごとく変えた。
私たち仲間を、殺すためだけにだ!」

ジェイスは、見よ、とつぶやくと、ラーサや、他のソウルイーターたちに合図した。
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