Mea

□第八話
2ページ/13ページ

「確かに、わからない」
ラックが言う。
「だが、確率としては半々だ。……つまり、どちらの可能性もあるってことだ。たまたま、強い奴が多かったんだろうな」

なんて曖昧な答えなんだろう。
あたしは、肩をすくめた。
「じゃあ、あたしは例外ね。だって、強くなんかないもの」

そうでもないぞ、とラックは言って、立ち上がる。
「もしお前が弱いんだったら、とっくにあっちへ行ってただろうぜ」
そして、空を指差した。

つまり、もう死んでいた、ということか!
ラックは、曖昧なだけではなく、いい加減なところもある。
全く、翻弄されっ放しだ。

「とにかく、あたしがラッカントを倒せるとしても、その本人はどこにいるっていうの?」
あたしは、話を変えようと、ラックに尋ねた。
どこにいるのか、がわからないと、話にならない。

「そうだな、場所……ソウルイーターや、……俺、お前の近くだ」
またしてもはっきりしない答えに、あたしがいらついたのは、言うまでもない。

「じゃあ、いい。もう聞かないから」
あたしはそう言って立ち上がると、湖のあるこのオアシスから出ようと、歩き出した。
「おい、どこに行くんだ?」
ラックが聞く。

「知らない。ソウルイーターや、荒野の近くじゃない?」
あたしは、さっきラックに言われたように言い返してやった。

しかしその後でちゃんと、ソウルイーターを捜さなきゃ、と付け加える(あたしはラックと違って、曖昧なことは言わないように努力してるからだ)。
「どうせラッカント・ロマリアを倒すだけじゃ、ソウルイーターは消えないんでしょ」

ボスを倒したら、ソウルイーターの印が消えて、みんなハッピーエンド、なんてことは現実には起こり得ないだろう(もしそうなるとしたら、これは最高の悪夢だ)。

「当たり前だ。だんだん、わかってきたようだな」
ラックが後から追ってきて、そう言いながらあたしを追い越して行った。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ