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□第七話
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あたしは、ラックと一緒にログハウスを出た。
血だらけの床を通り、出たあとは、ログハウスに火を放つ。
これは、ラックがソウルイーターを倒したときに必ずする、儀式のようなものだ。
ログハウスは、あっという間に炎に包まれ、ガラガラという鈍いうなり声をあげて、崩れていった。
雷雨はすでに止み、滴は、ぱらぱらとも落ちてこない。
あたしたちは無言のまま、ただ、薄暗い荒野を歩き通した。
途中、あたしはちらっと、何か木切れのような物を見かけた。
その表面に、引っかき傷のような模様があったが、辺りが暗いせいで、よく見えなかった。
普通の、どこにでもあるような木切れだったので、そんなに気に留めなかったが。
しばらく歩き続けて、ラックが、ふと、立ち止まる。
「……何?」
危うくラックにぶつかりそうになってから、あたしは言った。
「ここだ」
ラックが、誰に言うも無しに、つぶやく。
前を歩いていたラックの先を見てみると、そこには、まるでオアシスのような、湖があった。
岸から先、一面が月明かりに照らされ、波がさらに鈍く反射させる、広大な湖。
その光は、程よく重なった葉の色をも混ぜ合わせ、黄緑色に交じり合う。
「綺麗……!」
あたしは思わず、口に出してしまった。
あたしにとっては、今まで見たこともないほど、素晴らしい景色だった。
どんな建物も、この自然には勝てることもないだろう。
それほど、美しい景色。
果たしてラックは、あたしをこんなところに連れてきて(勝手な勘違いかもしれないが……)、一体何のつもりなのだろう?
「メア……気分はどうだ?」
ラックが、顔をくしゃくしゃにして、照れながら笑った。