KILLERS《キラーズ》

□第九節
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満月の話を聞きながら、ダズを見た。
目が少し赤い――もしかして泣いたのか?
ダズは俺と目が合うと少し慌て、決まり悪そうに視線をそらした。
ふはは、そうらしい。
「ねずみ捕りに行ったとき、あたしたちの他に誰かいたって言ったでしょ?」
満月が俺に顔を突き出すようにした。

話に集中しろ、か。
「ねずみ捕り……ああ、チップのことか?」
違う!と満月は首を振る。
としたら、あとは――?
「キメラを片付けた研究員たち!」
何だか満月はいらついているらしい。
俺のせいか?いや、まさか。
「で、その研究員たちが何だ?」

俺が先を促すと、満月はやれやれ、と首を振った。
「その研究員って、狩奴にとって危険?それとも仲間?」
いきなり難しい質問だな。
俺はそいつらを見てないからわからないが……。
「危険ではないんじゃないか?狩奴の行く所に居るんだから」
同じ建物に敵同士こもるなんて馬鹿げてる。

すると満月が、ほらねとダズに声をかけた。
「大丈夫、もしバレても安心だね」
ダズが弱々しくうなずく。
それを見て俺は訳がわからなくなり、おいおい、と手を振った。
「俺に何も言わねぇのかよ?ただ質問しに来ただけか?」
満月とダズは顔を見合わせ、悩むようにアイコンタクトをとっている。

――「どうしたらいい?」「話した方がいいのかな」「うう、でも……」――。
お前らの考えは、手にとるようにわかる。
「このまま何も言わない気か?泣き虫ダズめ」
ダズがはっとして俺を見た。
そして噛み付くように言う。
「諸刃には……死んだって話すもんか」
ちっ、そうきたか。
しかしこれ以上揺さぶっても、話す気配はない。

俺はあきらめてため息をついた。
「じゃあいいぜ。どうせそのうちわかるだろ」
「どうかな」
ダズは挑発するように言ったが、その目は明らかに動揺していた。
「それで、だ。明日はねずみ捕りに行こう」
俺が突然言ったので、二人が、はい?と聞き返してくる。
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