KILLERS《キラーズ》

□第八節
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「め、迷惑なんかじゃない……だって、あれは僕と諸刃のせい……だから」
あふれないでほしい。
泣かせたくなんか、ないというのに。
僕は戸惑ったが、満月は安心してくれたようだ。
「よかった……ごめんね。ありがとう」
と言い、目に溜まった涙を拭いて、優しく微笑んだ。

満月は、心配性だ。それに神経質でデリケート。
たった少しのことで傷つき、壊れてしまう。
僕はそれを、優しく包み込むようにして守らなきゃならない。
満月を泣かさないように。
悲しい目を、させないために。



 満月と別れ、僕はまた校舎へと進んだ。
その途中、昨日と同じく、後ろからゆっくりとしたしゃべりが僕を呼ぶ。
「ダズー、おはよぉ」
小夜だ。
「おはよう、小夜」
いつものように、あとは小夜と話しながら歩いていく。

ふと、思った。
小夜も満月のように、弱いところがあるのだろうか?
初めて会ったときは、かなり強烈な印象があった。
でもそれは、最初の一回だけだったし……。
「どうかしたのぉ?」
小夜が僕の目を覗き込む。
僕は驚き、慌てて何でもない、と言った。

性格の問題もあるし、何よりそれを知ったところで、僕には何の必要性もない。
なので僕はそれを聞かず、特に気にかけるそぶりも見せなかった。
……だが、小夜のことが気にならない、といえば嘘になるかも知れない。
僕は彼女のミステリアスなところを、もっと知りたいのだろう。

休み時間、僕は図書室へ行った。
図書室は大きく、いろいろな本がある。
なら、もしかしたら、この先僕たちが仕事をしていく上で必要な情報があるかも知れないからだ。
僕は少しでも諸刃や満月の手伝いがしたくて、そのために動物実験の本を探していた。
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