KILLERS《キラーズ》

□第六節
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病院に着くと、入口の所にもう看護士が待機していた。
ストレッチャーという、車輪つきの、患者を運ぶ為のベッドもある。
車を停めて、ダズたちのいる車両部へ行くと、満月が慌てていた。
「ダズの意識が無くなっちゃった!」

俺は、ダズを抱えると、看護士の所へと走った。
ダズは、ぐったりしている。
失血したせいだろうが、傷口から泥が入って、何かが起こったのかも知れない。
ダズをストレッチャーに載せると、看護士はすぐに、このまま手術室へ行く、とストレッチャーを押していった。

満月が後から来て、車のキーを俺に渡す。
鍵をかけるだけだから、と満月に頼んだのだった。
「ダズは?」
「このまま手術室だ」
満月が、心配そうな顔をしている。
「腕の中の弾を取り出して、ちょっと輸血するだけだからな……心配する必要はねえよ」

こくん、とうなずいて、満月は俺のコートのそで口をそっと持った。
「みんな怪我ばっかり……ダズなんて、毎回のようにしてるし。治るまで待たされるのは、つらいんだよ?」
微かに、満月の手が震えているように思えた。
そうか、満月は――ずっと待っていたんだよな。
「ねずみ捕り」の事件のあと、俺もダズも入院していた。

その時に、毎日見舞いに来たのも満月だし、誰もいない広い家で一人、待っていたのも満月だ。
寂しかったし、心細かっただろう。
「今回は俺もいるから、大丈夫だ。だろ?」
「うん……」
俺たちは、ダズの手術室の前にある椅子に座り、手術が終わるのを待った。

どのくらい時間が経ったかはわからないが、かなり長いこと待ったと思う。
手術室の扉の上にあるランプが消え、執刀医の先生が出て来た。
「手術は成功です」
ドラマなどでお馴染みの台詞だ。
先生がどこかへ行ったあと、左腕に包帯を巻いたダズが、ベッドで運ばれた。
小児科病棟の、大部屋だ。
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