KILLERS《キラーズ》
□番外編
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僕は外を見て、ため息をついた。外はここ数日、ずっと雨だ。
なので、僕らは傘をさしていた。
満月の白い傘が、曇り空よりまぶしく思えた。
蜘蛛の糸のように張り巡らされた、スパイダー・ネット通りを抜ける。
たくさんの店の間を通ってしばらく行くと、閑静な住宅街がある。
そして、その中に僕の通う学校を見つけた。
「ここ、だよね」
「そう。あとは一人で大丈夫?迷ったり……」
僕が確認すると、満月は心配そうに答えた。
この人は、世話好きだから。
「大丈夫。心配ない、から」
「わかった……じゃあ、帰りにまた連絡して?迎えに行くから」
「うん」
僕は満月と別れ、学校の敷地内へと入った。
校門をくぐると、そこから真っ直ぐ、正面の校舎まで、赤レンガの道が続いている。
レンガの道の左側にはグラウンドがあり、そこを仕切るように花壇がならんでいた。
道の反対には、体育館とみられる建物がある。
僕が学校を見回していると、体育館の外の端にちらりと見える赤いものが、目に留まった。
何かと思って目をこらしたが、何てことはない、ただの赤い傘だった。
僕は、それが何故か気になって、見に行くことにした。
僕のまわりには、今、校舎へと向かう幾人の生徒しかいない。
そして幸い、そこは僕の通り道であり、時間にも余裕があった。
ところが、そこに近付くにつれて、僕は異変に気付いた。
赤い傘がさされているのは、雨の当たらない、屋根のある所だった。
そして、何人かの生徒が、その「赤い傘」を取り囲んでいたのだ。
これは、恐喝?
よくわからないので、傘をさした子が殴られたり、財布を取られたりされそうになったら、出て行こう。
もう少し近付いて、様子を見ることにした。
僕は、体育館の壁に張り付くようにして近付き、あと五メートルぐらいまで距離を縮めた。