KILLERS《キラーズ》

□第四節
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僕は満月を見た。この人は、誰だ?
「満月――」
しかし、僕の問いは、途中で途切れた。
満月が、その人を見て叫んだのだ。
「チ……チップ!?」
そして、その人も、叫んだ。
「み、満月じゃないか!諸刃に……どうしたんだ!?それに……この子は?」

二人(諸刃も入れたら、三人だ)は、知り合いなのか?
頭が痛くなってきた。


「満月……この人、知り合い?」
僕は聞いた。満月は顔を輝かせて、
「うん!ダズ、この人はチップっていって……諸刃の友達なの!
チップ、この子はダズ。あたしたちの新しい仲間!!」
と、引き合わせてくれた。
チップは軽く僕に笑いかけたあと、
「満月!それで諸刃は?どうしたんだ?」
と言った。
……人のことをそれで、と流すなんて……。いくら友達が心配だからって、それは無いだろう……。


諸刃のことは、満月が説明した(といっても、しどろもどろで、通じたかどうかはわからない)。
僕だって一応怪我人なのに……。

僕たちがいたビルから出て、しばらく歩いたら、チップが呼んだとみえる車が停まっていた。
僕と満月は、顔を見合わせ、呆然と立ち尽くした。

「どうしたんだ?さ、早く乗ってくれ!」
チップはそう言うが……。
「本当にあたしたちが乗ってもいいの……?」
満月が、自分たちの格好を見ながら、恐る恐る聞いた。

得体の知れない、ジュースまみれの服。
車が汚れる、と気を使ったのだろう。
しかし、チップは、
「当たり前だよ!さあ!」
と言って、僕たちを黒くて長い車に押し込んだ。

乗ってしまった……。
いくら乗り物にうとくても、これは、わかる。
チップの車は――そう、リムジンだったのだ!
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