KILLERS《キラーズ》

□第三節
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あたし達は、まるで蜘蛛の巣のような路が広がる、『スパイダー・ネット通り』を通って、ギルドへと歩いて行った。
『スパイダー・ネット通り』というのは、将来、地球温暖化で海の下になる可能性のある低い土地や、ひらべったい土地に作られた、空中にある道路のことなの。
デパートの四階や六階とかから、他の建物に歩いて移れるようになっている(それなりに便利だけれど、下の日当たりが悪い!)。

あたしは諸刃よりも先にギルドに着き、扉を開けた。
白く広いオフィスに、そこには似合わないようなたくさんの機械がある。
と、その中に居た相変わらずの係員が、笑顔で迎えてくれた。
「来たか!満月と、諸刃のコンビが!」
あたしは笑顔でまっすぐカウンターへ行くと、聞いた。
「ねぇ、いいやつ、ある?」

カウンターの係員がすぐに応じ、例の機械たちをいじり始めた。
諸刃が遅れて到着し、
「満月……早すぎ」
と、つぶやく。
その数秒後、ギルドの係員が、あたし達に合った仕事をいくつか、調べて見つけてくれた。

あたしは、差し出された紙を、ぐっと身を乗り出して、覗き込んだ(紙を差し出された途端、諸刃がさっと、受け取ってしまったからだ!)。

さて、どんな仕事があるのだろう?


差し出された紙には、いろいろな仕事内容が、細かく書いてあった。
カラスの駆除、イグアナの駆除、野良犬退治……などなど。
けして喜ぶような内容ではない。

やがて、諸刃が一枚選び出し、
「これだ」
と言って、係員に渡す。
そこに書いてあった文字は……?

「ねずみ……捕り?」
あたしは、気の抜けた声を出してしまった。


「ねずみ捕りって……?何するの?」
あたしは諸刃にたずねたが、諸刃は軽く笑って、
「だから、ねずみ捕りだ。」
と言って、カウンターの係員に、手続きを頼む、と紙を渡した。
二人して、目を合わせては、にやついている。

「今のお前には、ぴったりだ」
諸刃が言い、係員と声をあげて盛大に笑い出す。すごく不快だ。

そして、あたしのための時間は、刻一刻と迫ってくる。
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