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□第四話
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さっきの場所から歩いて、十分くらいのところにある家に、ラックが入って行った。
「ここ、俺の家なんだ。入ってくれよ。汚いけどな」

レンガづくりの狭い家。
一階建てで、その中にベッドや椅子が詰め込まれている、というようなかんじだ。
壁にはごつい斧や、キラキラ光る石のついている剣が飾ってあった。
落ちたりしないか、不安になってしまう。

「まぁ、座ってくれよ。何か飲むか? 腹は?」
私は、のどが渇いていたので、
「何か飲み物が欲しい」
と言った。しかしラックは笑いながら冗談まじりに、
「悪い! 酒しかねぇ!」
と言う。
私は少し考えたあと、ラックに返事をした。
「じゃあそれでいいよ」
のどを潤すだけだから、酒でも構わない。
それに酒は、嫌なことを忘れさせてくれる(と聞いたことがある)。

「おいおい、お前まだ子供のくせに……」
ラックの言葉が途切れた。
私がラックの横から、酒の入ったボトルを取ったからだ。
「大丈夫よ。ワインとか、飲んだことあるもの」
私はにやりと笑って、手にしたボトルの中身を一気に全部、飲んでやった。

ラックが、あんぐりと口を開ける。しまった。
何か、飲んではいけないものだったのか?
私は心配になってきて、手にしたボトルを見た。
私の手と、同じくらいの小さな茶色いボトルだ。
ラックを見た。さっきのまま動いてない。

そして、私の体に異変が起こった。


頭が、ぐらぐらする。体が、ふらつく。
でも、でもなぜか宙に浮くように軽くなる。
風に運ばれ、遥か上空にいるようだ。
私はフフッと笑った。
何だか楽しい。さっきまでの気分が嘘のようだ!
私は、驚いて目をまるくするラックの方へ、歩いていった。





だが、そのあとの事を覚えていない。
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