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□第三話
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 あの事件から三ヶ月。

私は、エリザベスおばさんという、親戚の中でも一番厳しいおばさんの家で、暮らす事になった。
エリザベスおばさんは、私を召し使いのように扱う。
――本当はあんたが、二人を殺したんでしょう?
あぁ、ちゃんと掃除と洗濯、食事の用意だってしなさいよ。……。

少しでも遅れると怒る。
食事がまずいと、「こんなもの食べさせる気なの!?」と、投げたり、かけたりする。
私が文句を言うと、「誰があんたを引き取ってやったと思ってるの!」などと言われる。

酷い。毎日が地獄だ。
エリザベスおばさんは、まるで、なにかにつけて小言を言う、日本の姑のようだ!
(※でも中には、そんなことを言わない親切な人だっていると聞いた)

 学校は、嫌いになった。
エリザベスおばさんに引き取られてから、学校も移ったからだ。
居心地が悪い。
すべてが厳しく、息が詰まりそうだ。
前のように、仲の良い人がいない。
寂しい。

休みの日は、家に縛りつけられたように、外出だって買い出し以外は、許されない。
――最近、他の世界について、よく考えるようになった。

事件があった日、現れた化け物。
あれは何なんだろう?

……もう一度現れて、エリザベスおばさんを、殺してくれないだろうか……。
バッサリと、首を切り落としてくれないか?
そうしたら、私は自由だ!
この家も、なにもかも消える。
すべて無くした自分にはピッタリだ……!


いつか……必ず、あいつが戻って来る……。


まだ、まだあいつが来ない……。

早く来ないかな……。



私はこの頃おかしい。
何も要らない。部屋に引きこもるようになった。
異世界に行ったら、だとか、またあいつが来たら、だとか考えては、フフッと笑う。



そんな私を、エリザベスおばさんは嫌った。
気味悪がるし、ますますひどく扱う。
これじゃあまるで奴隷だ!

私に家のすべてを押し付け、自分はいつも、他の男と遊んでばかりいる。
私は、文句を言わなくなった。
どうせ、あのオオカミ野郎が来たら、殺されるんだ。

今に見てろよ!
いつも私をひどく扱ってる罰を、倍にして、苦しめて全部返してやる!
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