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□最終話
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「ジェイスは、みんなわかってたんだ。ラックのこと」
ラーサが、ぽつりとつぶやく。
「ジェイスだけじゃない。他の人たちだって、わかってたはずなんだ」
今、あたしたちは岩場を離れて、再び歩き出したところだった。
悲しいことがあった後だ。みんな黙り込んでいて、空気がずしりとのしかかってくるようだ。
ラーサは、岩場から離れてしばらくの間はぐずついていたのだが、すぐに泣き止んだ。
どうやら、立ち直りは早いらしい。
一方、ラックはというと、相当落ち込んでいるようだ。
一言も喋らず、返事は、ああ、とか、うう、とかうなるだけだった。
実の弟をその手で倒したわけだし、悲しむのは無理もない。
あたしは、ジェイスのことを何もと言っていいほど知らないので、変に声をかけられない。
結局、ただ静かに、黙っていた。
そこへ、ラーサの言葉。
「ジェイスは、みんなわかってたんだ。ラックのこと。……ジェイスだけじゃない。他の人たちだって、わかってたはずなんだ」
すると、ラックがわずかに顔を上げた。
「ラックにソウルイーターにされた後、僕らは例の〔意識〕に負けて、たくさんの人たちを殺した。……僕らの村が『呪受村(じゅじゅそん)』と言われた原因だよ」
呪いを受けた村、ということだろう。そのままだ。
あたしは、ラーサの邪魔をしないよう、黙っていた。