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□第九話
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体が、ずいぶん楽だ。

なんだか、宙に浮いているみたい。

ところどころ痛いのは、そうか、縛られていて――。


――誰かが、笑う。

あたしを?いや、違う。

周りの声が、だんだんはっきりと聞こえてきた。

「こいつ、どうするの?」

これはラーサの声――!?
心臓が、思い出したように動きだす。
鼓動は速まり、頭に血がサーッと流れだした。

起きろ、起きろ、起きろ!
頭の中で何度も繰り返す。

あたし、ジェイスたちに捕まったんだ、ソウルイーターに!

起きろ!戦え!倒せ!

感覚が、戻ってきた。
荒野に吹く風、冷たい岩の感触。

「ウあぁオオオあォあ!」

息の続く限り、叫ぶ。
なんだかいつもより、大きくて低めの声。
獣のような音が混ざる。
しかし、あたしは起きたのだ。
お前たちを斬ってやる!

自分を縛っていた縄を、鋭い爪と歯で切って(爪と歯で!?)立ち上がる。
息づかいが荒い。

辺りを見回した。
周りには、ソウルイーターがたくさん。
みんな黙って、あたしを見ている。

次に、自分を見た。
肌の色が、いつもより少しだけ濃い。
そして、爪が鋭く、長く伸びていた。
何――これ!?

あたしは意味がわからず、また叫んだ。
なんであたしがこんなことに!?
頭を両手で挟み、嫌だ、と振り回す。
しかし、身体中の痛みに堪えられず、すぐにやめた。
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