Short stories

□赤き血に飢えろ
1ページ/11ページ


――私は、炎のように赤きあれを欲し、最も美しい死を求める。


地を駆け、草を掻き分け、およそ全ての権利は得た。

残るは宝石のように光る、輝かしいあれだけなのだ。

誰か私に――殺させてくれ。



真夜中の閑静な街に、魂の断末魔が響き渡る。
私は美しい女と手を重ね合わせ、血のしたたる唇に舌を這わせた。
女の青ざめた顔が、私にとっては何よりの至福。
この世で最も美しい、恐怖に縁取られた顔。

しかしそれでも、私を満足させるものは作れなかった。
私を満足させて、死にそうになるぐらいの快感に墜としてほしいというのに。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ