KILLERS《キラーズ》

□第十五節
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《満月》



 「はぁ……よく寝たぁ」
そう言ってあたしは起き上がった。
「よく寝た、じゃないよ。……まだ、仕事は残ってるんだからね」
全く、といった様子で声をかけてきたのは、ダズだ。

今日のダズはいつもと違って、警備員の格好をしている。
最も、それはあたしも同じなのだが。
ダズは体に合う服のサイズがないのでぶかぶかだった。

そんなダズは自分の腰をトントンと叩き、伸びをした。
腰が痛いらしい。
「そうなんだよね……。ええっと、次はどこに突っ立ってればいいんだっけ?」あたしはそう言うと、ダズに手渡された映像記憶プラスチックを受け取った。



 ――小夜ちゃんの体が元に戻ってから、三日が過ぎた。
あのあと小夜ちゃんはレンタルラボを出て、有美さんの家に泊まることになった。
あたしは別にあたしの部屋でもいいと思ったが、小夜ちゃんが首を振った。
「狩奴の集合住宅にぃ、狩奴でない人がいたらぁ……ダメじゃないのぉ」

というわけで、小夜ちゃんは有美さんと一緒に暮らすことになった。
小夜ちゃんはしばらく、有美さんの家に引きこもることになる。
小夜ちゃんの体が完全に外気に慣れるまでは、小夜ちゃんは外に出られないからだ。
そのせいもあり、しばらくは病気がちになるかもしれない。

そういえばここだけの話なんだけど、レンタルラボの代金は諸刃が払ってくれたの!
小夜ちゃんがレンタルラボを出る最後の日、どう後処理をしたらいいのかわからない、と諸刃に言ったら来てくれたのだ。
「こういうのは男がやるもんだろ。先に外出てろ」

そう言って一人ラボの受付に残った諸刃だけど、支払いを終わらせて出て来た時にはがっくりと肩を落としていた。
「満月……、お前はライフルの弾といいラボのレンタル料といい……。関わるとタダじゃおかない女だな」
どうやら、想像を超える利用料だったらしい。
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