KILLERS《キラーズ》

□第四節
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《ダズ》



ごみ箱を出て、僕たちは走った。
僕は、さっきの人たちがいるかも知れないので、最初に来た道を避けて地上へ行きたかった。
だが、初めて来た場所だし、と満月が渋るものだから、仕方なく元々来た道を戻っていた。

満月が言う。
「だって、ダズは道が……わかる、の?」
走っているせいで、息を切らしている。
「いや、知ら……ない」
これは、本当のことだ。
僕だって今回、初めてここへ来たんだ。
知ってたらそっちの方が、おかしい。

それからしばらく、僕たちは走り続けた。
諸刃はというと、僕の後ろに背負われて、青い顔して気絶してる。

何度も何度も扉を通り、やがて僕たちは、地上へと続くエレベーターにたどり着いた。

エレベーターのランプが、紅く光る。
“2”を通り過ぎ、ランプは“1”を照らした。後少しだ。
満月がふと、諸刃につぶやいた。
「諸刃……頑張って……」

僕の後ろの諸刃を、必死に励ましている。
もっとも本人には聞こえていないが。

やがてエレベーターは“B1”に着き、僕たちの前にある、白い扉が開いた。
そして、エレベーターのドアが開くのと同時に、転がるようにして中に入った。

――と、満月より先に入った僕は、何か僕より背の高い物にぶち当たった。
「わぶっ!?」「!!」
思わず、おかしな声を出してしまった(ちなみに僕は前者だった)。
僕が少し下がると、その人の姿が見えた。

その人は一人だった。
金髪で、すらっとしている、スーツ姿の若い男性だ。
諸刃とそうは変わらない歳……に、見える。
その人は、まず僕を見て、その後満月を、そして諸刃を見た。

なぜだか、とても驚いているようだ。
目を大きく開け、穴の開くほど僕たちを眺める。
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