KILLERS《キラーズ》

□第十七節
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《満月》



巨大カメレオンの捕獲をした日から、もうすぐ一週間が経つ。
あたしは学校の放課後、生徒が数人行き交う廊下を歩いていた。
目的地は、中等部の校長室だ。
あたしの学校は中高一貫学校なので、高等部と中等部の校舎は隣にある。

あたしは裏庭へまわると、そのまま中等部の校舎の方へと向かった。
中等部と高等部は、正門が二つあるのだが、裏庭と裏門は一つに繋がっている。
久しぶりに中等部の校舎へ来たので、なんだか中学の頃が懐かしくなった。
ところで、あたしが中等部の校舎へ行くのは、もちろん理由があるからなの。

実はこの間結麻さんと克巳さんが帰ったあと、あたしの携帯にギルドの沢田さんから連絡があった――。
「満月か? お前ら、グランドビルの駐車場にあったワゴン車の中のペンキ、使っただろ? さっき賠償金の請求が来たぞ!」
グランドビルとは、巨大カメレオンが逃げ込んだ駐車場の建物名だ。

あたしは何とかそれを笑ってごまかすと、沢田さんの次の話を聞こうとした。
「ちょっとお前ら二人に話があってな。金曜の午後、できればギルドで話したい事なんだが、時間がなくて――悪いんだが、学校の校長室で話したい。だから中等部の校長室まで、放課後に来てくれるか?」
――ということだ。

あたしはそのとき、わかりました、と返事をした。
話の内容はわからないけど、ダズにも伝え、ダズもわかった、と返してくれた。
そして今に至る、というわけ。
あたしは裏庭から中等部の校舎へと続くドアを開けた。
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