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□LUCK 'S MEMORY―「幸運」の記憶
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「神よ……我らに、幸運を!」
俺は、叫んだ。
意識が遠のいていく。
視界は暗く、ほぼ、見えない。
俺はメアを抱いたまま、湖の浅瀬から深みへ、陸上から水中へと沈んだ。
神聖な湖の中は、とても透き通っている。
が、俺達の血で赤く染まっていた。
ああ、やはり、俺達が入ってはいけなかった……。
メアを抱えて、俺は上を見た。
月の光できらめき、水底を照らす。
そして、俺は、水底の闇と同じように暗い、ぼんやりとした過去の記憶にのみこまれた。