KILLERS《キラーズ》

□第十五節
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「まぁ、小夜ちゃんが助かったんだからいいじゃん? 人の命はお金に換えられないってことで」
あたしは苦笑いしてやり過ごすことにした。
諸刃には悪いことをしたけれど、どうせ狩奴で貯めたお金がいっぱいあるんだろうし、痛くも痒くもないだろうから。



 ――そして今あたしたちがいるのは、東京都内某所にある高級ホテル。
何故そんなところにいるのか、と聞かれれば、狩奴の仕事で、と答えるほかない。
小夜ちゃんの件も一段落し、忘れてた訳ではないが、仕事をしなくてはならない時が来てしまったのだ。

でもあたしたちだってただのうのうと広い部屋に居座っていた訳じゃない。
なのにギルドからは仕事しろ、って要請の手紙が届くし、沢田さんからは会う度にこそっと注意されるし……。
忙しかったんだから、少しぐらい見逃してよね!

……と言いたいところだけど、言い訳はギルドに通用しない。
そのチーム全員が入院でもしない限り(後できちんと入院していたという証明証を提出しなければならないが)、仕事をすっぽかすことなんかできないのだ。
というわけであたしとダズは、渋々ギルドへと向かった。

今さらだが、ギルドで請ける任務は、二種類ある。
一つは諸刃が自ら進んで請けていた、「異種生命体の摘種(要は種類のわからない動物を殺すこと)」や「試験下動物の保護(という名の下で動物を実験に使う為にあたしたちに捕まえて来させる)」などの《雑務》。

そしてもう一つは、あたしとダズはその存在すら忘れかけていた、《公務》というのがある。
狩奴の正式名は、「国家公務雑務請負業」であり、あたしたちはこれまでその中の《雑務》しかしたことがなかった。
そこでギルドの沢田さんが一度はやっとけ、なんて言うもんだから、半ば強引に引き受けさせられたのだ。
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