学生探偵 すばる

□清明学園・学園祭《上》
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「僕だったら原浩司が退学か謹慎でいなくなるまで、怖くて学校なんて来れないよ」
誠も言ってから、タコ焼きを一つ口に放り込んだ。
少し熱かったが、マヨネーズとソースがよく絡んでいて美味だ。

 誠たちは、校門の近くの噴水広場にいた。
それ程広い訳ではないが、噴水に沿った円形の広場の外周には、いくつかのベンチが設置されている。
ここは、今日のように晴れた日の強い日差しを防ぐ木々も植えられていて、生徒たちの憩いの場ともなっていた。

「情けないな、君たちは」
お決まりの台詞、と言わんばかりに、すばるが口を出した。
すばるも何だかんだブツブツ言いながら、タコ焼きを食べていた。
しかも、まだ買ってから五分も経っていないというのに、いつの間にか完食しているではないか。

「じゃあお前はどうなんだよ斎藤?」
むっとした桃汰がすばるを睨む。
すばるは鼻で笑ってからすらすらと言った。
「同学年の奴にビクビクするな、と言ったんだ。あんな奴、恐れる価値もない」
誠と桃汰は、そこまで言い切ったすばるに、逆に感心してしまった。

そして二人があることに気付き――声を出そうとした瞬間、すばるの後ろから声がした。
「じゃあ、それが本当なのか確かめさせて貰おうじゃねぇか」
すばるの背後には、さっきすばるが「恐れる価値もない」と言い捨てた原浩司がいた。
「原……。お前謹慎中じゃなかったのか……?」
桃汰が恐る恐る尋ねる。

「謹慎? 馬鹿かてめぇは。学園祭が終わったら退学だとよ。ハッ、こんなクソ学校こっちから辞めてやらぁ」
原浩司はどうやら、退学になるらしい。
「それで、今までの御礼にこの学園祭を目茶苦茶にしてやろうと思った訳か」
「お前、何でそれを……」
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