KILLERS《キラーズ》

□第十節
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 「ちょっと、いい?」
僕は学校から帰ろうと教室を出た小さな影を呼び止めた。
今は学校の教室にいて、下校時間が過ぎみんなが帰ろうとしているところだ。
教室の人影はもう無くなっていて、僕はこのときを待っていた。
「なぁにぃ?」
教室へ戻ってくる。

その子は僕より低い背丈の女の子で、黒髪のショートヘアだ。
子猫が甘えるように僕ににこりとした。
それは、ゆっくりとした喋り方が特徴の――。
「小夜、話したいことがある」
小夜はにこりとしていたが、僕の真面目な顔を見て少し首をかしげた。

何?、とまた言う。
「小夜、君……知ってるでしょ?ねずみ捕りに入って、『68番』を倒した人のこと」
小夜ははっとして、顔を青ざめた。
やっぱり、知っていた。
小夜は研究員だったのだ。
僕は決心して小夜に詰め寄った。
「知ってるんでしょ?諸刃に……何したの」

小夜が微かに震え、教室の扉に背中をつける。
「あたしぃ……何も知らないよぉ……」
「そんなはずは、ない。君は、あの建物の地下で、キメラの研究を……していた。過去に銃殺されたキメラの、研究に携わっていたはずだ」
小夜が首を横に振る。

「見たんだ、僕たちは。君や、君の父さんを、あの建物の中で」
小夜は今、僕を怖がっている。
僕はもう、そんなことは構わずに、脅すように小夜に問い掛けている。
僕は最低な男だ。
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