Short stories

□赤き血に飢えろ
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少女はその意図を理解するとすぐに、
「私、ハルマっていうの。おじさんは?」
名を名乗り男に聞き返した。
男は自分の名を言った。
だが、
「ダー……クラ?」
少女は発音ができなかった。
何回名を言っても、どうしてもダークラになってしまう。
最終的には男も諦め、名はダークラとなった。

「おじさんは旅をしている人なの?」
ハルマが聞く。
「旅……そうだな。人を探しているんだよ」
「どんな人?」
「それは――……」

――私に、呪いをかけた人だ。
私は過去にかけられたその呪いのせいで、もう百五十年もこの世をさまよっている。
いつかその人を見つけ出し復讐するまでは、普通に生きることはおろか、死ぬことすら出来ない――。

「どうかした?」
ハルマに呼ばれ、ダークラははっとした。
当然こんなことを少女には言えない。
何でもない、と言ってダークラはスープを一口飲んだ。
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