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□ティーカップに願う
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「そういえば私、ちょたに聞いてみたいことがあって」





平日のオフ、宍戸さんとの自主練もない時は
こうして学校のカフェテラスでゆっくりお茶をしながら
なまえさんと色んな話をする。

授業で見たオペラや映画の話、
選択でとっている語学についてや、今読んでいる本のこと

それと今日は 思いきって
「よければ明日から、一緒にお昼を食べませんか?」と誘ってみたり。

それに関して、二つ返事でOKを貰った俺は上機嫌で
なまえさんの前置きに「はい!何でも聞いて下さい!」と応えた。



「ちょたはいつから私のことを気にしてくれていたのかな、ってずっと気になってたの。聞いてもいい?」

「え!?っと…はい、」

「…ごめんね?こういう話 苦手だったよね」



確かに そういう話だとは思ってなくて、分かりやすく動揺してしまった俺に
なまえさんは 無理しなくていいんだよ、と微笑んでくれる。

でも、これは俺にとって2度目のチャンスだと思って首を横に振った。



「えっと…いつから、って聞かれちゃうと難しいんですけど…」



「好き」だって伝えるのはやっぱり難しくて
名前を呼ばれるたび、隣を歩くたび、手に触れるたび、微笑んでもらうたび、
俺はいつも好きだと思うけど

なまえさんはきっとそうじゃないから

なかなか言葉にできなくて
でも好きになってもらいたくて


俺はいつもきっかけを探してる。



「初めて、なまえさんと話した時…かもしれないです」

「え?それってちょたが1年生の頃…」

「新入部員も多くてろくに自己紹介もできていなかった俺の名前を知っていてくれたのが嬉しかったんです。まぁ、その頃はまだ なまえさんに話しかけてもらえるとなんとなく嬉しいなって思うくらいだったんですけど」

「でも…それは…」

「はい。後で俺だけじゃなくて、日吉や樺地、他の一年生のことも全員把握しているんだって知った時は少し残念に思いましたけど…同時にすごい人だなとも思って。その頃には なまえさんの落ち着いていて柔らかい雰囲気もすごく素敵だと思ってましたし、」

「そ、そうなの…?」

「昨年の文化祭で俺が告白されたって話が部活で出た時あったじゃないですか、」

「うん。あの時 ちょたがすごく慌ててたの覚えてるよ」

「あの時 俺、なまえさんには絶対に勘違いされたくないって思って…それで気づいたんです。俺はなまえさんのことが好きなんだって」

「…そうだったんだ、」

「なので いつからって言われると最初からだったのかもしれないんですけど、気付いたらすごく好きだったんです」





だから忍足さんには本当に感謝してる。
きっとあの時の冗談がなければ、俺は告白なんてできなかっただろうから。





「自分で聞いておいてなんだけど…照れちゃうね」



そう溢しながら、頬に片手を添えて少し俯くなまえさんが
抱き締めたいほど愛おしい。



「照れてるなまえさんも可愛いです」

「、ちょたは本当に褒め上手なんだから…」

「俺は本当のことを言ってるだけですよ!」

「…ありがとう」



ただやっぱり俺には

『なまえさんは俺のこと 好きになってくれましたか?』

って聞く勇気も
衝動のまま抱き締める度胸もなくて。





好きに、なって欲しい。



でも傍に居られるなら



俺と同じだけ好きになってもらえなくても
構わないから



どうか少しでも、と


下げた視線の先に映った情けない顔を飲み干して

空になった










ーカップに願う



なまえさんの傍に、少しでも長く居られますように










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