jump comic-D-

□ひんやり
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冷たいなにかを



追いかけるように目を開ければ





「あ、起きた」





ぼんやりと、映る人影に
渇ききった喉が囁くような音を出した。





「……出水くん…、」

「…素だとまだ出水の方が先に出てくんのな。まぁ、いいけど」





そんな出水くんの声に まだぼーっとした頭で
そうだ。名前で呼ぶんだった、と少し前にお願いされたことをなんとか思い出していれば
ガサガサとビニール袋の音が部屋に響いた。




「なんか食う?つってもおれ、料理とか分かんないしコンビニ寄ってきただけだけど」



ゼリーとかなら買ってきた。なまえさん好きなやつ。と見せてくれる彼をぼーっと見つめていたら出水くんは首を傾げる。



「?おーい、なまえさん生きてる?」

「…うん、」

「熱高そうだし薬のめば?」

「…うん」

「スポドリもあるけど」

「…うん」

「…おれのこと好き?」

「…うん」

「じゃあ俺と結婚してよ」

「…うん」



問いを重ねるにつれて、口元がへにゃりと曲がっていく公平くんを見て
応える度、少しずつはっきりしていく頭で 可愛いなあ、と思いながら目を閉じたら

しばらく間が空いたあと「……もっかい聞くけど生きてる?」と落ち着かない、少し嬉しそうな公平くんの声が耳に届いた。



「…だいじょぶ。ありがと…でも 公平くんは、風邪うつっちゃだめだから、お家帰って?」

「なまえさん知らねーの?バカは風邪ひかないんだって」

「公平くんは、ばかじゃないから だめだよ」

「残念、おれ 弾バカだから」

「…いつも否定してるのに、」

「今日は特別」



特別、って言葉が
本当に

とくべつに聞こえて

甘えてしまいそうになるのは 風邪のせいだから。
だめだ、しっかりしないと…とまた目を閉じた。


彼はボーダー隊員で、A級1位の隊だけど
年下で高校生だから

年上の私が、そういうところ ちゃんと気をつけてあげないと



「だめだよ、ほんとに。私なら大丈夫だから。困ったら、トリガー使えばいいし」

「…なまえさん、昨日それやって無理に出てきたから悪化したって分かってる?」

「分かってる。でも本当に大丈夫だから、ね?」

「そんな子供に言い聞かせるみたいに言ってもダメだって。今日はいーんだよ。それに、もう任務で帰らないって言ってきたし」

「…だめだよ、嘘ついちゃ」

「元気になったらいくらでも怒られてやるって」

「怒られるの私だけど…」

「おれのために怒られるなまえさんかー。それもいいな」

「…ばか」

「そ、なまえさんバカ」



だめだよ、と言う間も
押し返す腕の力も ないまま

だめだと、思ってはいるのに



「だから、風邪なんかうつんねーの」



そう言って キスの後にニッと笑って見せられると、押しきられてしまう。



「うつるよ、」

「はいはい」



そんな適当な返事といっしょに、今度は額にキスをする公平くんに
弱いなあ……と自分に呆れた。



「…怒られたら、慰めてね」

「そりゃもちろん」

「風邪移っちゃったら、お見舞い行くからね」

「あ、それはありかも」

「…ないよ」

「ウソだって。んな心配しないで もっかい寝れば?」

「……うん、」



傍に、居てね



ぼんやりしてきた意識のままそう呟けば
「一生居るつもりだって」とまたプロポーズみたいなことを言って







やり



気持ちのいい手を私の額に乗せた彼は、おやすみと呟いた。







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