Beide gefuhle-D-

□諦められねぇ
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今ならナマエの気持ちも分かる。

鬼柳のことを忘れられねえのも、きりがつけられねえのも、
お前が鬼柳に会いたがる気持ちも、




お前が居なくなった今なら。





俺もお前を忘れられそうにねぇよ。
このデュエルに勝ったって、お前にも皆にも一生会えねぇなんて思いたくねぇ。

それが現実だなんて、認めたくもねぇ。



嘘でもよかった、

ずっと一緒にいてやるって、あの時言ってやれば。
鬼柳なんか関係なかった。

俺は、俺の気持ちは



とっくにそう決めてたじゃねぇか。





今更気付いたって、遅せぇのか


マジでもう、どうしようもねぇのかよ





「くそっ…」



なんとか攻撃を凌いで、ジャイアントボマーエアレイドを倒しても
ダークシンクロで召喚された奴のモンスターの効果で、すぐに復活したジャイアントボマーエアレイドの攻撃に
俺の場のモンスターは破壊され、1700ものダメージに耐えきれず俺はD・ホイールごとコースを転がった。



「どうやら勝負あったようだな。その状態ではデュエルは続行できないだろう」



こんなことでやられてたまるか。
俺はまだ生きてる、動ける、



「クロウ!」

「来るな!!来るな遊星…このデュエルはまだ終わっちゃいねぇ!」

「…まだ動けるのか」



力の入らなくなった体を引きずって、なんとか起き上がる。
痛みなんかより、思うのはあいつらのことばっかりで

俺はまだやれる、あいつらのために



「当たり前だ。俺はお前達ダークシグナーを倒すまで、絶対に諦めねぇ」



今俺ができることは、



「でなくちゃ…でなくちゃアイツらが、浮かばれねぇんだよ!!」






これしかねぇんだよ。






「お前だってまだ戦えるはずだぜ、ブラックバード…」



エンジンをかけてやれば、立ち上がった俺の前へ走りこんでくる。

無理させて悪ぃな…あいつらのために、俺のために、もうちょい力を貸してくれ、ブラックバード。



「あのDホイールは生きているとでもいうのか…」

「俺もブラックバードもまだ諦めちゃいねー!デュエル再開だぜ!」



つっても、さっきので肋骨の2、3本は持ってかれたな…それでも弱音は吐いちゃいられねぇぜ。

なんとか奴の最強艦隊を陥落させても、それが布石になって奴に自縛神の召喚を許しちまった。
効果ダメージはギリギリ凌いだが…俺の手札にはトラップが1枚あるだけ

…このままじゃ、どっちみち負ける。


…このドローにすべてをかけるぜ。
おめぇら、俺に力を貸してくれ…


そう子供たちとナマエを思いながらドローしたカードを見て、自然と笑みがこぼれる。

なぁ、まだ俺のそばに居てくれてんのか?



「…ありがとよ、お前ら!!」



引いたカードからシンクロ召喚したBF−孤高のシルバーウィンドのカード効果で
自縛神を破壊しようと攻撃を仕掛けた瞬間、
自縛神に写った子供達の顔と、そいつらのであろう助けを求める声に 驚いて攻撃を止めた。



「なんだ、あの顔は…」

「どうしたクロウ、攻撃しないのなら私がターンを進めるぞ!」

「待つんだボマー!その自縛神をよく見ろ!」

「遊星……、な、…そんなばかな…なぜこの自縛神の中に私の故郷の人々が居る?!」

「なんだと…?」



消えた人間が自縛神の中に…?どういうことだ…
それじゃあ、もしかして、他の奴らも自縛神の中に捕らわれて…?




「…私の故郷を滅ぼしたのは、赤き龍ではなくダークシグナーだというのか…!くそっ…!私はなんのためにこれまで…」

「ボマー!」

「…クロウ!早く私を倒せ…私を倒せば自縛神に囚われた魂は解放される!」

「、」



あいつらも、もし、同じ状態だとしたら…、




「クロウ!ボマーの思いを無駄にするな!」

「!」



ボマーの…そうか、
自縛神は俺のトラップやマジックは受けつけねぇが、呼び出したプレイヤーのカード効果なら…!

ボマーが伏せていた永続トラップの効果を使って、自縛神を破壊すれば
自縛神の中から子供たちの顔が消えていく。



「やったぜ!…!!っ、」



勝ったんだと安心したのも束の間、
自縛神破壊の衝撃で崩れた瓦礫が、俺の頭上に降ってくる。


やべぇ、体が動かねぇ、

あいつらが生きてるかもしれねぇのに、
助けられるかもしれねぇのに、

俺がこんなとこで死ぬのか?

俺は、お前に、



もうだめなんじゃねーかと思った瞬間、
Dホイールが衝突してきた衝撃で、俺は瓦礫の範囲外に弾き飛ばされた。

その突っ込んできたDホイールは、ボマーのもので

俺を庇って瓦礫の下敷きになっちまったボマーの元へ急いで駆け寄った。



「、……ボマー!!!」

「遊星…クロウ、無事か」

「何で!なんで俺を助けたんだよ!」

「…クロウ、お前は私の故郷の人々を救ってくれたじゃないか」

「…ボマー」

「必ず子供たちを助けて、そして…立派に育てろ」



助けられるのか、あいつらを…
もしそれが本当なら、



「んなこたぁお前に言われなくてもやってみせらぁ!」



俺のやることはひとつしかねぇよ。

…ありがとな、ボマー。
お前の残してくれた可能性を、俺は信じる。



「…なぁ、遊星。ダークシグナー共を倒せば、消えたあいつらは戻ってくんのか?」

「…俺はそう信じている」

「……だな。俺もそれにかけるぜ、遊星!」

「あぁ。…行こう、鬼柳のところへ」





チャクチャウラの中に居た子供達が本当に助かったのかは分からねぇ。
サテライトの奴らや、あいつらも、本当に戻ってくるかは分からねぇ。


それでも俺は、




まだ










られねぇ



お前と居られる『ずっと』がいつまでかなんて分かんねぇけど、
昨日「待ってる」っつったお前の言葉にくらいは期待したっていいだろ?













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