Beide gefuhle-D-
□今だって。
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「あそこか…!ダークシグナー!!」
ダイダロスブリッジから地上絵へとブラックバードを走らせる。
到着してみりゃ、そこに居たのはフォーチュンカップで遊星を苦しめたボマー。
まさかこいつがダークシグナーになってやがったとは…だが、相手が誰だろうと関係ねぇ。
シグナーであろうとなかろうと、俺はこいつらのやり方を…
あいつらを消したダークシグナー共を、俺は絶対許さねぇ。
「クロウとやら、もう一度聞く。闇のデュエルの決着がつけば、どちらかの魂は消えることになる。始めたら後戻りはできなくなる」
「くどいぜ。俺の戻る場所を奪ったお前らに、そんな気遣いはされたくねぇ!」
お互いに大事なものを失った俺たちのこの恨みは、戦う以外にどうしようもねぇ。
にしても…魂が消える、か。ナマエが居たら、怒るだろうな。
…ごめんな、お前が居ねぇんじゃ戻る場所も何もねぇからよ。
負けてやる気なんか勿論ねぇから、皆と見守っててくれ。
スタートの駆け引きは俺の勝ちで第1コーナーをとる。
俺の先行でデュエルを進めるが、想像以上の衝撃に、ブラックバードごとコース外へ弾かれる。
コースから外れていく一瞬も、消えてくあいつらが脳裏に浮かんで、
俺はグリップを強く握りしめた。
「こんな所で負けるわけにはいかねぇ…!皆、俺は…」
この勝負は、この勝負だけは絶対に負けられねぇんだ!
皆、見ててくれよ…俺は…!
「負けるかよ!こんな所で!!」
ワイヤーと翼を使って、なんとかコースに戻る。
マニュアルモードにしといて正解だったぜ。
さすが闇のライディングデュエル…予想以上の衝撃だ。遊星の言ってた通り、まさに命がけ…か。
それでも、消えたあいつらの事を考えたら…ビビッてなんかいられねぇ!
そう意気込んで攻撃したはいいが、俺の攻撃にはびくともしてねぇうえに、みすみす奴を有利にしちまった。
まずいな…、奴のエースモンスターが召喚される前になんとかしねぇと…。
「所詮シグナーでない者とのデュエル、私が勝って当然だ。このデュエル… !!」
その時、俺たちの背後からD・ホイールが近づいてきたことをD・ホイールの画面が示す。
「…!遊星!」
遊星の奴、こっちに戻ってきてたのか。
「クロウ!今すぐデュエルを中止しろ!ダークシグナーとのデュエルは俺たちシグナーに任せるんだ!」
遊星が心配してるのは分かってる。
だが、これだけは譲れねぇ…!
「…遊星、いくらお前の頼みでもそれだけは聞けねぇ!こいつらダークシグナーのせいで…俺の所に居た子供達も、ナマエも…全員消えちまったんだ!」
「何?!子供たちと…ナマエが…!」
あいつらが居ねぇんじゃ、
俺にはもう、戻る場所なんかねぇんだよ!
「俺は奴らに復讐する。いくらお前でも止めらんねぇ!」
「クロウ!」
「あいつらは俺の希望だった!あいつらは皆、俺自身だったんだ!」
17年前の事故で親を亡くした俺は…ひとり惨めだった。
愛してくれる奴が居るわけでもねぇ…友達も、行くあても、金も学も、何もなかった俺に
デュエルモンスターズは色々なものを与えてくれた。
気付けば俺は、一人じゃなかった。
サテライトには俺みたいなガキ共が沢山居る。
俺はあいつらに、デュエルモンスターズで学んだことを伝えたてやりたい。
お前たちを助けてくれる仲間が居る、見守ってくれる奴らが居るって…
やっと見つけた希望だった。
それなのに、
「ダークシグナーは…俺の希望を粉々にしたんだ!絶対に許さねぇ!!」
見守ってやりたかった子供たちは、
もう、どこにも居ねぇ。
「受けて立つぞクロウ!復讐こそ、決して消すことの出来ない心の闇!」
ナマエも、もう、戻ってこねぇ。
「やめろ!クロウ、ボマー、よすんだ!お前たちが心に受けた傷は似ている!だからこそ、お前たちはお互いの事を理解し合えるはずだ!」
守ってやりたかった。
支えてやりたかった。
「じゃあ俺たちの怒りはどこにぶつけりゃいいんだよ!」
「クロウ!復讐は新たな復讐を生むだけだ!どうしてそれが分からない!」
「頭じゃ分かってるさ!…でも、」
俺を、頼って欲しかった。
「もう俺の心はどうにもならねぇんだ!!」
「クロウ!」
好きなんだよ、
「分かってくれよ遊星!俺たちはもう戦わずにはいられねぇんだよ!ダチならしっかり見ててくれよ!俺たちのデュエルを!!」
あいつが居ない
今だって。
皆でずっと一緒に居られたら、そんな事を柄にもなく思ったりもしてたんだ。