Beide gefuhle-D-

□どこにも
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街で自縛神の噂を聞き、最深部へ向かう。
遊星が居ねぇ間にダークシグナーの一、二匹駆除してやろうと最深部付近を見回りに来た。


皆でいつも通り暮らすためにも、こんなもんさっさと終わらせねーとな。
ナマエのこともある…俺にはそばに居てやるくらしかしてやれねぇけど。
誰も居ないよりはよっぽどマシだ…



「おっ、さっそく一匹!」


いかにも怪しげな奴を捕まえてみりゃ、治安維持局の野郎で
遊星たちとは別の目的で動いてるようだった。
胡散臭い面してやがるからダークシグナーかと思えば…何企んでやがるんだか。

デュエルで聞き出してやろうと思えば、始まってみりゃトラップのコンボにシンクロ封じ、
治安維持局だっつーからどんなもんかと思えば中々やりやがる…。



「やるじゃねぇか!治安維持局にもアンタみたいなイカれたデュエルをする野郎が居たとはなぁ」

「お褒めに預かり光栄です」



まぁ、折角ライフも並んだことだ。こうなりゃ、とことん楽しませてもらおうか、って所で大きく地面が揺れた。



「なんだ?!地震か…?」

「い、いかん!もう始まってしまいましたか!」



でかい揺れと光に、血相を変えてデュエルディスクを外しながら逃げ出すピエロ野郎を追いかける。



「ふざけんな!デュエリストの命を捨てて逃げようなんざ、ふてぇ野郎、だっ!!」

「今は本物の命の方が大事なん、です!」

「なっ…」

「あなたも命が惜しかったらお逃げなさい!もっとも、もう手遅れかもしれませんがね!」

「んなろぉー!勝負は預けたー!くらい言いやがれ!!」



腕から変な風船を出して飛んでいくピエロ野郎に、文句をつけてる場合じゃなかったようで、
最深部の方から得体の知れねぇヤバそうな黒い霧が流れてきやがる。

おいおい、命が惜しけりゃって…マジかよ
何だか分からねぇがコレは相当ヤバそうだな…!



「ちくしょう!一体なんなんだ…!」



どんどん差を縮めてくる黒い霧にとにかくブラックバードをとばす。
どうなるか分からねぇこの状況で浮かぶのは、アジトに居るあいつらのことばっかりで。


皆…ナマエ、…絶対帰るからな…!
お前ら無事で居ろよ!俺は…!



「俺は死なねぇぞ…!こんなところで…死んで、たまるかーっ!!!!!」













空が雲で覆われて、雷が鳴り響く。
どれだけ走ったか、時間が経ったか…分からねぇ。無我夢中で飛び込んだロッカーから這い出て
目の前に倒れているブラックバードを起こし、エンジンをかけて走り出す。


走りながら改めて周辺を見渡して感じる、違和感。


まるで人の気配がしねぇ。
にしても、なんなんだよ、この感じ……



マジで…誰もいねぇ…?



それに気付いた瞬間、血の気が引いた。





「…皆は?!」



グリップを握る手に思わず力が入る。
すぐさまブラックバードをUターンさせて、アジトへ向けて走らせる。


俺の勘違いならそれでいい!あいつらが笑って迎えてくれりゃあそれで…!
頼む…、頼むから、無事でいてくれ…!!!
ギンガ、タイガ、ダイチ、ヒカリ、ココロ……、ナマエ…!!!






「おい皆、俺だ!居るんだろ?!クロウだ!隠れてねぇで出てこいよ!ふざけてねぇで…!!」


『クロウ帰ってきた!』
『クロウ兄ちゃん!』



いつもみてぇに、笑顔で迎えてくれる子供たちが、



「、お前等!よかった…よかっ、」





ナマエが、





『おかえり、クロウ』





消えてく、





「…嘘だろ……?」




命がけで守るって、

お前に、守ってやるから、なんて言っといて、




「嘘だろ…!!!」





俺は、結局、





「あぁあああぁああああああ!!!」











なにも、守れやしなかった。











もう、お前らの笑顔を見ることも、

出迎えてもらうことも…

何も、何もしてやれねぇってのか…





俺は…!



お前らを失っちまったら、俺は、



もう、










にも



戻れねぇ。お前らが、俺のすべてなんだ。












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