Beide gefuhle-D-

□はやく、
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不安、じゃないなんて嘘。
怖くない、なんて嘘。
もし帰ってこなかったら、もし、





京介みたいに、







「ナマエお姉ちゃん、具合悪いの?」

「え、」



いつの間にかぼうっとしてしまっていたのか
気づけば子供達が周りに集まっていた。



「大丈夫かよ」

「…うん。大丈夫だよ?ごめんね、どうしたの?」

「クロウにーちゃんいつ帰ってくるかなぁ!って!」

「うーん…きっと明日には帰ってくるんじゃないかな?」



明日にでも帰ってきて欲しいのは私の気持ち。

命がけ、なんて聞いたからなのかな
一生会えなくなったあの人が…京介のことが頭について離れなくて。



「ホント?早く帰ってこないかなー!ね、ナマエねーちゃん!」

「うん、そうだね」



そう返して微笑んだ。
子供達はすぐに表情を見て、気持ちを読み取って心配してくれるから、私が元気で居なきゃって気持ちになる。


昔も、そうだった…京介が死んだって聞いて
毎日毎日、呪文みたいに京介の名前ばっかり心の中で繰り返してて。
俯いてばかりいた私が、どれだけ子供達に元気をもらったか…。

最初は無理やりで、空元気みたいなものだったけど…少しずつ本当に笑えるようになって、
悲しいのが少しずつ薄れていって、皆が大好きになった。





毎日、子供達が笑いかけてくれて


京介を思い出して泣くことがあっても、







『お前ことは、絶対守ってやるから…』







そう言って、いつもクロウが傍に居てくれた。
いつからだったかな、クロウの前で もう京介の名前は出さないようにしよう、
心配かけないように頑張ろうって決めて…

クロウが、皆が居てくれたから、私 京介が居なくなっても大丈夫になれた。



私は皆に、何かできるかな?



今は、皆に不安を移してしまわないように振舞うくらいしかできないけど。
それでも、できるだけ、いつもどおりに。



このままで居られる、皆との時間を幸せに、





大切に、過ごしたいから。





『ぜってえ、帰ってくる。約束だ!』





信じてるよ、今度こそ大切にしたいから。

だから…









く、



帰ってきて、いつもどおり「おかえり」って言わせて













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