Beide gefuhle-D-

□守るから
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同行を取り付けた俺は、相棒をひっぱりだそうと小屋へ入る。
真っ暗な部屋の中、皆寝てるもんだと思って油断してた。
よく考えりゃ、俺より先に寝てることなんざ殆どなかったんだ。





「…ナマエ」

「…クロウも、黙って行くの?」

「いや、そんなつもりじゃなかったんだけどよ…!成り行きっつうか、……今の聞いてたのか」



小さく頷かれて俺は言葉に詰まる。

俺の気持ちが重荷にならねぇようにと思って、あれからできるだけ何も言わねぇようにしてたんだが…
それでも、聞かれちまったもんはしょうがねぇと覚悟を決めた。



「…そうか。…でも、お前らのことは、絶対に俺が守ってやるから安心しとけ!」



何があっても、命をかけてでも。



子供達は、お前は、俺が守る。



この気持ちはずっと変わらねぇ本心だ。





「命がけ、で…?」



「ナマエ…?」




ナマエが俯いたまま発した声は、途切れ途切れで。

いつもと違う様子が、



重なった、






『京介が、帰って、こない、の…』


ここに連れて来たばっかの頃のこいつと。





「…………帰って、くるよね?」



微かに、震えてる
声も、肩も、

あの頃を思い出して、胸がざわつく。



「帰ってくるに決まってんだろ?」



そう言って俯いてるナマエの頭を撫でる。
この様子じゃ抱きしめてやりてぇけど、今の俺にはできなかった。



「命がけ、なんて、クロウが居なくなったら…!クロウが、居なきゃ、意味 ないんだよ…?」



一瞬あげたナマエの顔は、今にも泣きそうで。
また抱き締めそうになる衝動を押さえ込んで、頭を撫でてやる。
するとすぐにまた俯いて、服をぐっと握りしめてた。







あぁ、やっぱり曲げられねぇ。







傍にいられる限り、お前は俺が死んでも守る。

守っから…




「そんな顔すんな。心配しねーでも絶っ対帰ってくる!…俺が嘘ついたことあるか?」

「…ない…けど…」

「ぜってえ、帰ってくる。約束だ!」

「……」

「だいたい、俺がお前ら置いて死ぬわけねーだろ!そっちの方がよっぽど死にそうなくらい心配だっつーの!」

「…うん」



口元が少し緩んだナマエを見て、ちょっとホッとする。



「気をつけてね」

「おう!」

「…帰ってきてね」

「ああ、約束だ」









から



約束も、お前も、笑顔も、全部。絶対に。












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