Beide gefuhle-D-

□知ってたよ
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「好きだ」

「……うん」





初めてその言葉を聞いたあの日から
少しずつ、少しずつ、増えていく

いろんな気持ち。



あれからたまに、やってくるようになったその言葉。



ほんとは、すごく嬉しいのに、
いつも「うん」としか答えない私に


クロウはいつも優しく、でも少し寂しそうに 笑いかけてくれる。



クロウには元気に笑っていてほしいのに。
寂しそうになんて、笑ってほしくないのに、

そうさせてるのは私で。



ほんとは、クロウのこと好きだよ。
大好きで、大切だよ。
でも、だから、好きだから、クロウには幸せになってほしくて。



それには、私なんかじゃだめで


いつまでも、



クロウの言葉に、

好意に、


甘えてちゃいけないんだってことも、

これ以上一緒に居ちゃいけないのも、





分かってるのに。





たった一言、







「ナマエ…?まだ寝てなかったのか…?」

「、」

「…顔色悪ぃぞ。…最近まともに寝てねーだろ。子供達の面倒なら俺が見てっからお前は……ナマエ…?」

「…クロウ」

「……どうしたんだよ」




たった一言、『でていく』って、それだけ、
それだけ言えれば、



きっと、





全部なしにできる。





「クロウ…私…」

「ナマエ…?」






今なら、まだ、







「ここ、出てく…」




「……は?」





この気持ち、






ふたりで 忘れられるよね?












クロウの顔も見ないまま、気づいたら走り出してた。
後ろからすぐに走り出す音と、クロウの声。



「ちょっと待てっ!止まりやがれ!」

「こないで…!」

「ざっけんな!」



捕まって、引かれる腕に反して顔を背けた。

逃げられる、なんて思ってない。
分かってもらわなきゃ、



「離して…」




じゃないと




「離さねぇ!どういうことだよ!?ちゃんと説明しろよ!」

「これ以上一緒に、居られないよ…」

「意味…わっかんねぇ!ちゃんと話せって…」

「私じゃ、だめだから…何もしてあげられないから…!!」








離れられなくなる








「んなことねぇ!」

「だめなの!」





「俺が、お前と居たいって言ってもか!」






「っ…!」



揺らぐ、


「だめ、だよ、」

「…俺は絶対に居なくなったりしねぇ、この手を離すつもりもねぇ。何もできなくなんかねぇ、ここに居るだけで十分だ。だから…」



ぐらぐらと、



「ここに居ろよ!ナマエ!!」



揺らいで、



「クロ、ウ…」



私は










「お前ことは、絶対守ってやるから…」



んなこと言うなよ、そんな言葉を最後に





意識を手放した。










てたよ



この気持ちを、もう変えられないことくらい。












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