Beide gefuhle-D-

□幸せを願って
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「好きだ」








静かな部屋に、一言 響いた。
子供達はもうとっくに寝てる時間で、この場所には今俺とナマエの二人だけ。

俺の言葉を聞いて
机の向かいで、ゆるりと顔をあげたナマエと目があう。








分かってたんだ、どういう反応が返ってくるかくらい。






「クロウ…」





戸惑った表情、彷徨う目線。



検討のつく、答え。





分かってたはずなんだ、
答えも、今は言うべきタイミングじゃねぇことも。

それでも、黙っていられなかった。





「…私も、…皆のこと、クロウのこと、大好きだよ」

「、……」





分かってんのに、予想なんかついてたのに、

やっぱ、駄目なんだな






「…」

「…そうか」

「…うん。だから…私、クロウに、皆に、…幸せでいて欲しいよ」






どこか、線を引いてたことも、
まだ、何も忘れてないってことも、

俺や子供達のことを、一番に考えていることも、





分かってんのに。



そんな顔、させたいわけじゃねぇのに、

ごめんな。






「……」

「……」



悲しそうに、そっと微笑んだナマエを前にして
目を伏せてその表情を焼き付ける。




いつか、本物の笑顔に変えられるように





誓いながら。








「ありがとな、ナマエ」

「え…?」

「俺や子供達だけじゃねぇ、お前も幸せになんなきゃいけねーぞ!」



今はまだ、これでいい。
こんな場所に生きてて、お互いの幸せを願える

それだけで、十分だ。



「……ありがとう、クロウ」



俺だって、お前に幸せでいてもらいたい気持ちは同じなんだ。








いつか、
その幸せが訪れた、





そのときに、お前の隣に居られるのが









俺だったら、いいんだけどな。




なんて、俺の考えも知らずにナマエは安心したように微笑んだ。









を願って



俺とお前の幸せが、いつか少しでも交わることをひっそりと願う













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