Magazin&Champion-D-

□答えは、
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約束はなかった。
ただ、



『またね』



と、薄く涙をためて
卒業していったあの人を

追いかけたくてたまらなかった。







「悠人、くん…?」

「お久しぶりです、なまえさん」





それくらい、好きな人だった。

って、過去形にするには 1年てのは短くて





「なんで…」

「あれ?兄貴に聞いてません?オレ、箱学受けたんですよ」

「…そう、だったんだ。びっくりしちゃった」





でも、
今でも たまらなく好きだ。

って言うには 何もない1年てのは長くて。





「これから部活ですかぁ?」

「うん、」

「オレも入部しに行こうと思ってたとこです」





あの頃にちゃんと気持ち言えてたら

もっと普通に

動揺なんかされなくて
ぎこちなくもなくて
優しく笑ってもらえて





「一緒に行きます?部室まで」

「あ、えっと 私、着替えてから行くから…」

「じゃあ、先行ってます」





一緒に行こう、って言ってもらえました?と


笑顔の裏で考えた。



それだけ分かりやすく距離とられると詰める気にもなんなくて

答えはとっくに出てたろって
心のどこかで微かに希望を抱いてた自分に呆れた。



卒業の後 ただの一度も連絡もらえなくて
同じ高校行こうにも、結局何度聞いたって進学先だけは教えてくれなかったから

高校どこ受けようか迷ってたオレに



『なまえとも仲良かったし、ウチ、受けるんだろ?』



って、隼人くんが言った時点で





オレには、たまらなく絶望的だった。





そりゃぁ気づくでしょ。普通に。
そういうことか、って思うしかないでしょ。



オレに優しかったのは『隼人くんの弟』だからで。
進学先も 兄貴を追いかけて、

オレ、隼人くんとはギクシャクしてたから
ここに来たら


もう、オレに会うことなんかない


って、思ったんでしょう?
ね、なまえさん、



どうせ貴方も





オレのことなんか、

見てなかったってことなんでしょう?










は、



yesかどうかなんて、聞くまでもなく分かりきってる。










→02.逃げるように


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