Magazin&Champion-D-

□そう考えて
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話はなんとかついたらしく、
教室に戻ってきたみょうじと目があえば

『私が鳴くんに勝てるわけなかったや』

と小さく、困ったように笑った。

そんなみょうじに『今更気づいたのか?』なんて呆れたように返して
これでやっと少しはましになるのか、と肩の荷が降りた気分だったが







「まあた二人して来てるし!!仲良すぎない!?ねえ!おかしくない!?絶対おかしいよね!?」

「「……」」

「何とか言いなよ!二人して!!」



相変わらず騒がしい鳴を見て
そんなにすぐ何かが変わるわけもねぇか、と

俺は悟ったように目を閉じて



「鳴、」

「!!」



隣に居たみょうじは、鳴の名前を呼んだ。
驚いたことに、今 鳴を呼んだのは 俺じゃなくみょうじで
それでも俺以上に驚いてる鳴が視界に入ると 口を出すタイミングを見失った。



「多田野くんが困った顔してる」

「今なんで呼び捨てにしたの!?何急に!何で!?」

「…今そんな話してないよ?」

「いいよ!樹なんて待たせとけば!」

「ちゃんと終わるまで居るからそういうこと言わない。多田野くんを困らせないようにねって言ったでしょう?」

「何その母親みたいな言い方!」

「…私が母親だと父親は原田くんになると思うけど」

「おい、勝手に巻き込むな…」



みょうじの言葉を聞いて、流石に口を挟まずには居られず そう言いかければ即座に不満そうな声が被さる。



「絶っ対イヤだね!!ゴリラじゃん!!」

「お前な…こっちこそ願い下げだ」

「それはおかしい!こんなに才能とカリスマ性に溢れてて将来有望な子供そうそう居ないよ!?」

「自分で言うか…」

「ゴリラからは生まれてこないよ!?」

「しつけぇ」



それしか言うことねぇのかお前は、と鳴に文句をつける隣で 何故か笑い始めるみょうじに
鳴と二人して視線を向ける。



「何笑ってんの!」

「相変わらず二人は仲いいなぁって」

「仲良いって言うのかこれは…?」

「うん、羨ましいくらい」

「それもどうなんだ」

「それは 勿論こ」
「もーすぐそうやって雅さんとばっか話す!!どうせクラスでも話してるんでしょ!絶対俺より雅さんとの方が話してるじゃん!おかしいって!!もう雅さんと話すの禁止!!」

「お前…前より酷くなってるな…?」

「何が!っていうか理由まだ聞いてないんだけど!!何で!!」



前からうるさかったのが、より増した気がして思わず口から出たが…
どう話してこうなるんだ…というより本当に話ついたのか?なんて心配をしかけて、やめた。



「本当は原田くんと鳴が仲良いの、ずっと羨ましいなって思ってたから。だから私も『鳴』って呼んでみようかな、って」

「「………」」

「はあ!?何それ聞いてないんだけど!??」

「うん、言ったことない」

「俺 呼び捨てでいいって言ってたじゃん!!今更そんなこと言う普通!?遅すぎ!!信じらんない!!」

「あ は は」

「そこ笑うとこじゃないから!!っていうか何そのわざとらしい笑い方!腹立つな!!」

「つい、鳴が可愛いから」

「はぁ!?可愛くないし!ふざけてんの!?」



相変わらず文句ばかり並べるわりには
みょうじの反応が違うせいか
騒がしくも嬉しそうな鳴の様子に いらねえ心配だったか、と人心地がつく。



「ほら、そろそろ、多田野くん待ちくたびれてるよ」

「納得いかないし!言い足りないんだけど!終わる前に帰ったりしたら分かってるよね!?」

「分かってるよ?」

「雅さん見張っててよ!」

「なんで俺が…」

「文句ならすぐにどっか行こうとするなまえに言ってよね!!」



そう言ってまた俺に押しつけていく鳴に
自由奔放の極みみたいな奴が何を言ってんだ、と思いもしたが
意外と振り回されてるのはアイツの方なのかもしれねぇなと思えば少し面白くもあって。

それでも、



「信用ないな」

「あ は は…それは今後の行いでなんとか…まぁ…、ごめんね、付き合わせて」

「今更だな」

「…そうだね」

「そこ!!いい雰囲気出すの禁止!!あと喋るのも禁止!!」

「相変わらず器の小せぇヤローだな、お前は…いいからさっさと戻れ」




それでも、
これに付き合わされるのが、卒業までか、


あるいは



この先 一生なのか、










考えて



前者なら楽だったろうが…否も応もなく見守ることになるんだろうな、一生。と覚悟にも似たため息を吐いた。







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