Magazin&Champion-D-

□くだらねえ
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「どうぞ、君下先輩!」

「……」

「はい、風間くん!」

「サンキューつくし。つか お前まーた生方にこき使われて…って、あれ?君下くん、あだなは?」

「あ?知るかよ。バカのことはバカにでも聞け」



「いや〜、あだなといったらキーチマンより君下くんでしょ」



風間のそんな発言に



「あぁ?」



思わず、眉をひそめる。

何でもうコイツまで先輩達と同じようなことを言いやがんだ。
クラスが同じなのは俺じゃなくバカ喜一の方だと何度言ったって、喜一かなまえに何かあればどいつもこいつも全部俺の方に押し付けて来やがるから 正直迷惑だ。
俺はバカ共の世話係じゃねえんだぞ、と考えながらグラウンドを睨んでいれば後ろからそのバカの声が飛んでくる。



「あれ!?最初の休憩までには絶対間に合うと思ったのに〜っ!」

「遅え、サボってんじゃねえぞ」

「きみし〜ってば人聞き悪い!日直だっただけだよ!サボってない!」



振り返ることもなく言葉を投げた俺に
わざわざ横に来て不満そうな声をあげるなまえが面倒で 無視するように顔を反らせば
『ちゃんときいちゃんに伝言頼んだよ!』と更に詰め寄ってくるから うぜえ!と頭を押し返す。



「知るか!喜一はどうでもいいが俺を変な呼び方すんのはやめろ」

「変じゃないよ可愛いよ?」

「コロすぞ」

「だって『あーくん』って呼んだら怒るじゃん」

「あーくん!?!?」

「あ"ぁ?」

「すんません!!なんでもありません!!断じて!何も!!」



風間の横に居た来須が声をあげたのにイラついて睨めば、ひっ!とビビるのがまたイラッときて舌打ちをする。
そんな俺の横でなまえが「もー、1年生をむやみに睨まないの!」とかとぼけたことをぬかしやがるから
『全部てめえのせいだろうが』とでも言ってやろうかと思ったのに、抜け作までとぼけたことをぬかすせいでそっちに持っていかれる。



「みょうじ先輩と君下先輩って仲良いんですね!」

「あ?んなわけねえだろ。てめえの目は節穴か」

「幼馴染みなんだってさー。つくしとさゆりんみたいな感じなんじゃねえ?」

「なるほど!」

「…おい風間、てめえ何でんなこと知ってる」

「あだなに聞いたんすよ〜。君下くん昔は可愛かっ」
「てめえその話今すぐ忘れろ。忘れねえと殺す」

「え?俺今何か話してましたっけ」

「風間くん!?」



これだ…これが目に見えてたから1年が入る前、俺はコイツに『いらねえこと話すんじゃねえぞ』っつー釘を指したはずなんだが?
このバカは一体何を聞いてやがったんだ?バカは喜一だけで十分なんだよ。



「……おい、このクソタワケ…」

「えー…何でそんなに怒ってるの?折角パンあげようと思ったのに」

「い る か」

「お店番の時食べない?買ったけど、半分くらい食べたらもういっかなーって…」

「食べかけじゃねえか!ふざけんな」

「良いじゃん!最初からわかれてるやつだよ?口つけてないし!」

「食いきれねえなら買うな!だいたい明日にでもてめえで食えばいいだろうが!」

「明日は明日の気分があるもーん!あーくん分かってな〜い」

「その言い方ヤメロ。コロすぞ」

「ほら怒ったー!このパン!カルシウム入ってるよ!」

「あ"ーうぜえ。もういい話にならん!さっさと準備して てめえの仕事しやがれ、このクソタワケが!」

「はーい!」

「ガキかてめえは」



へらへらと上機嫌に手をあげて歩いていくなまえに
まさに暖簾に腕押しだな、とどこかから臼井先輩の声まで聞こえてきて これでもかってくらいのため息が出る。



「あだなが全然気にしてないのがいつ見ても面白いんだよなー」

「か、風間くん…!怒られちゃうよ…!?」

「なぁ、結局 君下先輩とみょうじ先輩って」
「それ以上余計な口きいたら、てめえら死ぬまで外周させんぞ」

「さあて!練習再開しようぜつくし!」
「すんません!もう一生言いませんーー!!」



そう言って、バタバタと俺から離れていく1年共の背中を見て
繰り返される言葉に顔をしかめる。





『結局 君下先輩とみょうじ先輩って、』





「…くだらねえ、」

「なーにが?」

「……チッ」

「えぇ〜まだ怒ってるの?カルシウム摂ろ!パンはあーくんの鞄へ勝手に入れておきました!」

「…食いもんに罪はねえから貰っておいてやるが、お前今日はもう喋んな」

「なんで!?」

「俺の仕事が増えるからだよ!このタワケが!」

「え〜無理だよ〜」

「うるせえ黙れ」



その言葉の続きは
今までも散々言われてきて、こっちはいい加減聞き飽きてんだよ。










らねえ



付き合う必要がどこにある。







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